ホラーというより幽霊譚に近い、2017年の米国映画。もう終了間近だが、字幕のみの初無料配信が一ヶ月。
郊外の一軒家に住む若夫婦の夫が、突然の事故で命を失った。しかし霊安室の死体にかけられたシーツが起きあがり、家へやってくる。そのままシーツをかぶった謎の存在が、家の歴史を見つめていく……
白いシーツをかぶった冗談のような幽霊が、長回しで淡々と人々の悲しみと営みを見つめていく。幽霊となった存在はいっさい声を発さず、その言葉は字幕で表現される。目の部分だけ穴があいているデザインが、見つめることを重視したドラマにあっている。
VFXはピーター・ジャクソン監督のWETAデジタルが担当。あまりに自然すぎてどこがVFXなのかわからない。
特にホラーらしい恐怖などはないが、平坦なドラマのようでいて驚きも適度にあり、短いこともあって静かなドラマを最後まで飽きずに見ることはできた。
ただ、どうしても気になったのが、他者への目線。
移民らしき母子家庭を主人公の幽霊がつい追いはらってしまって何のフォローもないことに首をかしげていたら、時間をさかのぼった開拓時代の光景で家を建てようとした白人一家が"インディアン"に襲撃されたらしい描写まで出てくる。
今どきこのような目線の映画がつくられたことに良くない意味で驚いたし、こうなると舞台が人種差別がはげしく残るテキサス州に設定されていることも気になってくる。