2013年のオランダと米国の合作映画が、ABEMAで一週間の初無料配信。
第二次世界大戦の末期、ソ連軍の少人数部隊がドイツの占領地に潜入する。散発的な戦闘をおこない、不思議な死体を目撃しながら、救援をもとめる同胞部隊を見つけようとしていた。
しかしその潜入には当時最新のカラーフィルムをつかう撮影者が同行していた。その撮影者の記録した映像には、恐るべき改造人間が映し出されていた……
フェイクドキュメンタリーの一種、ファウンド・フッテージの手法でつくられた低予算スプラッター映画。
銃口から出るマズルフラッシュが平面的かつ形状が同じで合成とあからさまだし、潜入部隊にしても人数が少なすぎる。大規模な爆撃は音と振動で暗示するだけ。しかし村ひとつから煙をのぼらせたり、広い地下道や工場ひとつをマッドサイエンティストらしく作りこんでいて、低予算ホラーとしては意外と見ごたえある。
劇中のカメラで切りとった狭い視界のおかげで粗も気にならない。手持ちカメラの揺れつづける映像に酩酊感をおぼえるし、明らかに危険な状況で撤退を選ばない兵士の愚かさにストレスがたまるが、それもホラー映画らしさではある。
それに低予算とはいえ死体や流血の描写で出し惜しみがない。1時間半に満たない短尺とはいえ、開始15分以内に死体が映し出されるテンポの良さはありがたい。
そして改造人間のデザインはシルエットからして多種多様で、質感もギミックもしっかりスチームパンクな魅力がある。攻撃手段や動作にもバラエティがあり、大挙して登場してくるだけで楽しい。この種の低予算ホラーなら怪物は1体や2体で茶を濁したり、全身すら見せなかったりする。つかうべき予算はしっかりつかう判断が素晴らしい。
物語は無きにひとしいが、ABEMAで無料配信する低予算ホラーのなかでは見どころが多くて飽きさせない一品だ。
ちなみに今回に無料配信される吹替版は『ドラえもん』関係の声優を集めて一部で話題となった。
改造人間をつくったマッドサイエンティストを演じるのは先代スネ夫の肝付兼太。記録撮影するユダヤ人ソ連兵は現のび太の父の松本保典で、最も若いソ連兵を先代のび太を演じた小原乃梨子。看護師の現地女性は現のび太の大原めぐみ。他にも先代と現在のジャイアン声優がメインキャラクターで参加。