2004年のスマトラ沖地震の実話にもとづく、2012年のスペイン映画。無料配信が字幕のみで一ヶ月。
イギリス人の夫婦は3人の幼い息子をつれて、明るいタイのリゾートにやってきた。
しかし海岸のコテージに滞在していた一家は、突然の津波におそわれ、はなればなれになってしまう。
母親は黒い濁流のなかで、かろうじて命をつなぐことができたが……
うつくしい風景が天災で一変する映像で、災害パニック映画としてシンプルに力強く完成した佳作。
津波が観光地が破壊する場面ではミニチュア特撮を使用。ミニチュアの大きさや高速度撮影が適切で、現代の映画VFXとして見ごたえある。
以降もスクリーン全体が濁流となる前半や、水が引いて荒野となった中盤、被災者が集められた病院の混乱ぶりまで、場面ごとの情景がスケール感たっぷりで、映像として飽きさせない。
はなればなれになった家族を主軸に、名も無き人々が支えあい少しずつつながっていく構成も、ドラマをシンプルにして無駄がない。本題と関係のないトラブルで場をもたせたりせず、津波というテーマがくっきり印象に残った。
J.A.バヨナ監督は、この後さらにVFX描写を充実させた心象ファンタジー『怪物はささやく』を2017年に公開。
スペインの代表的な映画賞を総なめして、その年の国内最高興収を達成したという。下記の『CGworld』記事がくわしい。