『ビー・デビル』のチャンチルス監督による、2013年の韓国映画。字幕と吹替で、何度目かの約一ヶ月無料配信。
成績トップのリュファンが韓国にスパイとして潜入して2年。頭の足りない男を演じながら雑貨屋に住みこみ、近所の子供たちにバカにされていた。
しかし圧倒的な肉体は維持して、他の潜入スパイとの連絡も欠かさない。人前でバカを演じて恥をかく任務をつづける。しかし……
2010年代初頭、韓国映画のアクション演出が世界水準に達したことを裏づける作品のひとつ。
けして映画好きに注目された作品ではなく、スタッフの過去作品も特にアクション重視というわけではない。それでも肉体をつかった格闘戦から、屋根から屋根へつたうパルクールアクションまで、現在でも充分に見ごたえある映像にしあがっている。
まだVFXは浮き気味だが、技術が足りない部分はリュファンの心象風景につかって、演出に昇華している。
物語としては、バカを演じる潜入スパイという脇役ならば定番の設定を、主人公として前面に出したところが特色。
バカを偽装するためにモザイクつきで排便までやらかす。
そこから敵地で生活をおくりながら一般住民にとけこんでいくドラマを見せていく。
住民は聖人君子ではなく、子供たちは母子家庭に悩みつつリュファンをいじめるし、雑貨店の女主人もリュファンの介護はするが働けない分を安月給*1から引く。
しかし、そのように完璧ではない平凡な人々だからこそ、エリートなリュファンにとっていとおしい存在になっていくのだ。