パクチャヌク監督の韓国映画版は何度か無料配信されていたが、リメイク版は先々月につづいて二度目。要ログインのR15で、字幕のみで二週間。
傲慢な生活を送っていた広告会社の男が、突然拉致されてから二十年。解放された男は家族を求めて謎解きを始めるが、痛ましい真実が待っていた……
原作に独自の結末を加えて2003年に公開され、さまざまな映画祭で受賞した韓国映画版。
何度もリメイクの話題が流れていたが、映画制作会社と出版社が契約問題で訴訟を起こしたりして、黒人監督のスパイク・リーに権利がわたって2013年にようやく完成した。
さまざまな激しい社会的メッセージで知られるスパイク・リー監督だが、アクション演出家としての実力を感じさせるしあがり。韓国版では横位置から映した1カット長回しアクションを、立体的な長回しアクションに発展させて、原典を尊重しつつ変化をつけている。
韓国版よりも暴力のグロテスク度は高いが、結果としてむしろドライな雰囲気にしあがっている。ウェットで陰惨な韓国版より、皮肉めいて主人公をつきはなしている。
物語はサスペンスとして韓国版をふまえつつ、意外性を感じさせるよう発展させるつくり。解放時の描写で韓国版とは異なる真相を暗示する。
サプライズを楽しむためには、まず韓国版で驚いてから、このリメイク版を見るという順番が良いだろう。
社会派のスパイク・リー監督らしく、白人の差別心をところどころで主人公の性格描写につかっているところや、ニュース映像で時間経過を表現しつつメディア批判をサラッと組みこんでいるところがおもしろい。
最終的には韓国版を超えるほどの印象はなく、二次創作的なひっくりかえしといったところだが、それゆえに楽しいサスペンスではあった。