2015年の韓国映画が、字幕のみで1ヶ月無料配信。
間接的にスポンサーを怒らせる記事を書いてしまった新聞記者が、停職させられている時に思い出した連続殺人事件の情報提供。現場にふみこんでスクープした時から、はてしなく事態が混沌としていく……
いわゆる「共感性羞恥」という感情が喚起されるブラックコメディサスペンスだ。
最初はただの検証不足による誤報だったのだが、間違いを糊塗するためにとりかえしのつかない状況になっていく。
ボタンのかけちがいから自分でドツボにはまっていく主人公が、見ていていたたまれない。
しかし過誤と捏造をはたらくのは主人公ばかりではない。この映画は、あらゆる登場人物がごまかしのために嘘をついていく群像劇となっている。
それゆえダメ人間でしかない主人公が、最終的には比較的に善良なヒーローと感じられていく。
韓国映画らしい泥臭いアクションや、犯人らしき車を尾行する地味に手間のかかったカーチェイスや、異常な殺人をそっけなく描くスラッシャーホラーとしての見どころも多い。
連続殺人ミステリでよくある「見立て殺人」というジャンルが、普通とは「逆の順序」で犯人が選ぶこととなり、そのジャンルでよくある「被害者」と「真犯人」の「すりかわり」を犯人が最終的に「失敗」するという展開などで、ミステリとして楽しめるだろう。
それでいて物語はシリアスに転調することなく、ブラックな笑いに満ちたコメディのまま終わり、その結末は皮肉きわまりない。
報道も警察も家族もウソをかかえたまま、日常がつづいていく。それがどこまでもエンタメでありつつ、社会風刺としても読みこめる。