『サスペクト 哀しき容疑者』のウォン・シニョン監督による2018年の韓国映画。初無料配信が約一ヶ月。
ある種の信念をもって連続殺人をくりかえしながら、十数年前の事故から犯行を止めたビョンス。しかしその事故の後遺症とアルツハイマーの合併症で、記憶が失われていく症状に苦しめられていた。そしてある日、また別の接触事故を起こしたビョンスは、相手の若い男も殺人鬼だと考える……
前年に公開されたドイツの認知症ミステリ映画『手紙は憶えている』を連想させつつ、味わいは全く異なる。
高齢と若年の謎めいた男が、ひとりの娘を軸に争い、事態が混迷をきわめていく。若い男の身分の意外性から、連続殺人をめぐる真実も二転三転していく。主人公は危機感を強めていくが、記憶喪失によって意図せず失敗をつみかさねていく。
もちろん韓国映画らしい血生臭く後味悪い描写から、肉体を傷つけあう迫真の格闘戦まで、娯楽色たっぷり。見ごたえのあるサスペンスだ。
また、少しずつ描写を変えて再編集し、ラストを追加した『殺人者の記憶法:新しい記憶』という別バージョンも存在する。
見比べると展開の違いに驚かされるそうだが、残念ながら今回は無料配信されていない。