まずは冒頭2話が配信中。好事家に有名なのは『新章』とつく1993年の続編シリーズだが、この1990年にはじまる無印シリーズにも見どころが多い。
メインスタッフは、抒情的な演出で知られる安濃高志が監督し、伝奇物を得意とする會川昇*1が構成および脚本。
古典文学『南総里見八犬伝』を、陰鬱で怪奇で耽美な、しかしどこか少年たちを気高さを感じさせるアニメへと進化させた。
さらに第1話は、現在も劇場アニメの第一線で活躍するようなアニメーターが集結。
時系列をシャッフルして原作の名場面を入り乱れさせながら、その場面ごとに求められているアニメーションを提供している。
まず大平晋也と橋本晋治が作画監督をつとめ、冒頭の妖異登場を磯光雄。走りながらの剣劇を沖浦啓之。おそらく少女の泣き顔を田辺修。他にも橋本敬史、松本憲生、梅津泰臣といった著名なアニメーターが若き日の情熱をほとばらせている。
こうした参加者の証言は『WEBアニメスタイル』の各ページで読むことができる。
まだ配信していないが、第4話も別作品のような面白さがある。映画『ハーモニー』のなかむらたかし監督が、このエピソードだけのキャラクターデザインを提供。悪夢的で狂騒的な妖異絵巻が展開される。
このエピソードだけ脚本も鳴海丈がつとめ、うってかわって娯楽活劇らしい展開。後に仲間となる乱暴者との激しいバトルをへて次回につづくという、少年アニメらしい内容におさめていた。
最新作の映画『ハーモニー』の評判は、聞くかぎりではよくないのだが、なかむらたかし監督はもともとこういう独特のアニメらしい表現を得意としていたわけで、うまく作風が合わなかったということなのかもしれない。