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仕事をもとめて都市部へ来た男が体験する、世にも奇妙な物語『ゼイリブ』(01:34:21)配信期間:2021年9月24日~10月23日

1988年につくられたジョン・カーペンター監督のサスペンス。字幕のみの配信が約一ヶ月。

gyao.yahoo.co.jp

何かが変わることを求めて都市にやってきた男。たのみこんで工事現場の仕事にありつき、教会近くのドヤ街に寝泊まりする。

都市の一角で、ドヤ街で、じっとテレビを見ている人々。急にモニターに違う映像が映りこみ、奇妙な陰謀論をはじめる。

その陰謀論の音声が、道端にいる教会の黒人神父となぜかシンクロしていて……

 

米国のTVドラマ『アウター・リミッツ』のような1960年代の空気がありつつ、資本主義消費文明と格差社会への抵抗として現代に通用する作品。

白人男性が貧困層に転落したことで、世界の真実に接触してしまう。現在に視聴すれば、バブル経済に突入した公開当時の日本より*1、ずっと切実に感じられるかもしれない。

約1時間半と短めの尺で、特撮は当時の技術を考慮してもアナログで低予算。しかしその作り物めいたビジュアルが悪夢めいたストーリーとよくあっている。

そうして低予算と思っていると意外にハイレベルなスタントに驚くし、敵のデザインもよくできていて表情に生々しさがある。

 

主人公のモノローグや独り言がなく、無言の芝居で物語を進めていく前半のトーンも独特。

他にもタイトルの「THEY LIVE」が冒頭に都市部のラクガキとして映ったり、組織的ではない立場の「自由教会」が反撃の拠点になったり、説明的ではない暗示のような演出が多用される。

主人公が状況を理解して周囲に真実を叫んでしまう場面から物語はB級SFに転調していき、路地裏のプロレスの無駄な長さなど粗も目立つようになるが、そうした部分もふくめて魅力的な作品だ。

*1:ちなみに日本のTVドラマ『世にも奇妙な物語』は2年後に始まった。