『オールド・ボーイ』のように日本の漫画を原作とした韓国映画。2008年の少し古い作品が字幕のみで、おそらく初無料配信。
貧しい青年画家の恋人は、父親のつくった借金でとりたてに困っていた。大富豪のギャンブルに巻きこまれた青年画家は、大富豪の提示した新たなギャンブルにのってしまう。そして驚愕の超医療技術により、異常なギャンブルが成立してしまう……
『静かなるドン』の新田たつおの短期連載漫画『チェン爺』を、前半の人間関係まで原作にそって映像化し、後半からオリジナルストーリーに移行する。
『ブラック・ジャック』のごとき架空の医療技術を前提として、シンプルな設定から意外なかけひきを展開する物語は楽しく、奇妙に後味の悪い結末までブラックなスリラーとしてサービス満点。どんでん返しを重視しすぎて、結末のキレが悪いところは当時の韓国映画らしい難点。
映像では韓国映画らしく当時からエログロの映像的な刺激が強めで、娯楽色たっぷり。富豪の屋敷や劇中絵画、貧しい下町に激しい降雨など、おそらく可能な制作リソースを惜しみなく使って映像に予算不足は感じさせない。
ただし十年以上前なので技術的にはまだ世界水準とはいいがたく、全体的に照明の光量が不足気味。恋愛などで泣かせようとする場面を引っぱりすぎてテンポが悪い感じもあった。
人格入れ替えをテーマにしたジャンル映画としては充分に楽しいが、韓国映画の進歩の過程を観察する気分で見るくらいが良いかもしれない。