技巧的な少女小説で知られる小野不由美の原作を、2016年に映画化した作品。舞台を2012年に改変している。
投稿された恐怖体験の小説化をおこなう女性小説家*1が、異なる投稿の奇妙な関係を見いだしたところから始まる。
フィクションと確定する描写を徹底的に排除して、リアリティを確保しつつ調査をつづける*2。恐怖の根源はなかなか確定せず、リアルな市街地の風景が不安感を増していく。そうしてどのような観客でも体験しうる因縁としての恐怖を生み出していく……
重厚な原作を二時間に満たない映画にまとめるため、必要な骨格を抽出。
派手なカメラワークやBGMはつかわず、ホラーらしい恐怖の存在が姿をあらわすのは回想のイメージシーンなどにしぼりこみ、登場人物の生活感ある住居を映像化することに力を注いでいる*3。
さまざまなアパートや日本家屋を一般的な邦画と比べてもていねいに映して、実際にそこに人が住んでいるという実感がある。特にゴミ屋敷関係は冷めるような粗がなく、かといって必要以上の不快感もなく、よくできていた。