低予算で完成度の高い恐怖を演出した、2014年の米国映画。要ログインのR15で、字幕と吹替で初無料配信。
19歳の女性ジェイが行きずりの男と楽しんだ後、その男に拘束される。しかし男はジェイを傷つけたりはせず、ひとつの忠告をして去っていく。
その男を追っている謎の存在は、性的関係をもった相手に標的を変えるというのだ。そしてジェイも誰かと寝ることを考えるが……
何の変哲もない風景に溶けこんで、人の姿をした死がまっすぐ歩いてくる。ゾンビ映画よりも自然かつ不条理に……そんなイメージを低予算でもきちんと映像化して、ホラー映画として高い評価を受けた。
VFXを使わず、派手な演出もせず、恐ろしい存在をそっけなく映す。そのコントラストが強烈だ。日本のホラー映画でいえば黒沢清監督作品に近いだろうか。
クライマックスになるとその存在が物理的な力を発揮して、ギャグに近い別の不条理さを感じさせるところも黒沢作品に似ている。
かたちをもっているのに抵抗は難しく、油断しているところに近づいてくる。ルールは明確だが由来も解決法もわからない。サプライズで驚かす場面はほとんどなく、走るだけで逃げられるが、だからこそ恐怖が持続する。
この種の若者が主人公のホラー映画には珍しく、嫌悪感のあるキャラクターがほとんどいないことも特色だ。恐怖との対決にドラマの焦点がしぼられ、本筋と無関係な不快感がノイズになったりしない。
謎の存在を何かの比喩表現と考察することも楽しいが、まず素直にホラー映画として楽しむのが良いだろう。