何度か無料配信された2011年の韓国映画。1994年の韓国を舞台として、テロ事件を群像劇として描く。
爆破テロや拷問的なシーンも散りばめてあるが、あまり予算を使った大作ではないようだ。陰謀の性質もふくめて、日本でいうと『相棒』の劇場版くらいの内容。
しかし複数の実話をモデルにした複雑な展開を、よく整理して見どころの多い陰謀劇にしたてている。謎の男たちに追われて逃げる場面のアクションもよくできているし*1、奮闘する記者のキャラクターもいい*2。爆破シーンはモニターや窓の向こうに見せて、うまく誤魔化しつつ迫力を感じさせる。
謎の敵による記者への追求がどこか手ぬるかったり、事件の完全な解決にはいたらなかったり、後味はすっきりしない感もあったが、2時間を超えない手ごろなアクション映画としては充分に楽しめる。
原子力発電の誘致が陰謀の背景と密接にからんでいるところも、2011年の東日本大震災を連想させる。もちろん公開年度からして制作は震災以前におこなわれていたはずなので、奇妙な偶然の一致にすぎないだろうが。