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世界をまたにかけるコメディチックなスパイアクション大作『ザ・スパイ シークレット・ライズ』(02:01:13)配信期間:2020年6月15日~6月24日

2013年の韓国映画。主人公の技能と作品コンセプトを示すアフリカを皮切りに、タイや朝鮮半島へ移動しながらアクションがくりひろげられる。

gyao.yahoo.co.jp

凄腕エージェントのチョルスだが、日常では夫の職業を知らない妻ヨンヒの尻にしかれていた。

朝鮮半島の融和を目指す北側の重要人物が謀殺され、タイにいる娘をねらって各国のスパイが動きだす。

もちろんチョルスも仲間とタイへ向かうが、ヨンヒが謎の美男子と浮気しているのを目撃する……

 

制作のトラブルから、助監督経験しかないイ・スンジュンが監督として抜擢されたという。

しかし大作スパイ映画らしいスケールをたもちつつ、そつなくまとめていて、韓国映画界の基盤の強固さを感じさせる。

予算を笑いに使い捨てるような実写映画は、日本なら『あぶない刑事』のようなバブル経済やその遺産が残っていた時期までしか制作できなかったろう。

 

主人公が男性自身の小ささで落ちこむのに対して、妻はロマンティックな体験という記憶を美化しつづけるコントラストが強烈。

けっこう人は死ぬし、銃撃戦や爆破やカーチェイスは現代の韓国映画らしい迫力だが、ほとんど血は流れず肉体も傷つかないので、気軽に見ていられる。3DCGと思われる飛行機やヘリに質感はないが、作品の雰囲気にあっているし、迫力優先の描写が楽しい。

複数勢力がいりみだれて戦うが、うまく整理していて理解しやすく、笑いの邪魔にならないのも良い。主人公の活躍が妻に足を引っぱられつづける偶然の連続も、敵の策略なのでご都合主義とは感じない。

事件の黒幕設定も、主人公の先輩が株取引で失敗していることが伏線的に作用して、資本主義テーマという納得感がある。

 

黒幕の裏に陰謀があったという展開はさすがにしつこさを感じたが、状況が動きつづけてアクション描写もバラエティがあり、ライトなエンタメとしては必要充分。ひまつぶしには最適な作品だと思う。