1981年のホラー映画。『エイリアン』原案のダン・オバノン脚本で、海沿いの静かな街で起きる恐怖を描く。
邦題こそゾンビ映画らしくアピールしているが、印象としてはカルト教団ホラーのようで、全体としてはゴシック調のオカルトホラーに近い。謎めいた事件を保安官視点で解き明かそうとする展開ともども、『世にも奇妙な物語』の一編のよう。
物語が始まるのは、まるでヨーロッパ映画のように貧しくもオシャレな海辺から。やがていくつもの死体が転がっていくが、監察医によって美しく死化粧されていく。
エロティックだったりスプラッタ―だったり、ホラーらしい悪趣味な場面もソフトフォーカスで撮影され、文芸映画のような雰囲気がある。女優も美人ぞろいで男優も味わいあり、見ているだけで心地よい。
後に『ターミネーター』を手がけるスタン・ウィンストンの特殊メイクも、リアルでグロテスクだがギリギリの清潔感があって、文芸映画のような雰囲気を壊さない。
それでいて惨劇にいたるシチュエーションにはバラエティがあり、ホラー映画としても満足できる。
どんでん返しも見どころだが、現在となっては予測しやすい古典の域か。
ここでひとつ、真相をめぐって違和感ある部分がある。「監察医」が黒幕なのだが、死体が「生き返って出ていった」ことを、わざわざ「保安官」に訴える理由がわからない。黒幕であれば、死体がどうなるかよくわかっているはずなのに。調べても解説が見つからなかったが、「1カット長回し」で黒幕が去ってから死体が「起きあがる直前に出てきた、顔が映ら」ない人物が「教えられたとおり勝手に」死体を「よみがえらせてしまった」ということなのだろうか。