1984年の反共映画『若き勇者たち』の、2012年のリメイク作品が初配信。字幕でも吹替でも視聴できる。
わずか1時間半の短い時間だが、アメリカ全土の戦場までは描かないので、これはこれで問題ない。
市街地の大規模な破壊シーンや抵抗テロや銃撃戦や戦車戦まで展開されるが、あくまで若者たちの視点で、支配に抵抗する物語として成立している。
普通の先進国の町並みが戦場になるという、ゲーム的なビジュアルを楽しむアクション映画としては悪くない。
ただし、いくらなんでも根幹設定に無理がある。
冷戦時代に作られたリメイク元は、ソ連に侵攻されたアメリカで若者が抵抗運動をはじめるという物語。ソ連と必ずしも友好的ではなかった中国も侵攻される側だった。
対して今作は、中国が侵攻してくるという脚本で作られようとしたが、批判されて方向転換。北朝鮮によるアメリカ支配への抵抗という物語として完成した。
……どう考えても無理がある。
国力や軍事力以前の問題として、いきなり航空機で韓国と日本と太平洋を越えるという地理関係から無理があるし、北朝鮮の全人口が兵士になっても北米大陸を占領するのは不可能としか思えない。
作品を実際に見れば、完全に占領されたのは主人公たちの周辺地域だけという情報が少しずつ明らかになる。しかし、ならば主人公の住む街だけが奇襲で占領され遮断されたという設定でも良かった。敵が占領する動機としては、主人公の街に古い核兵器施設があるとでも設定すればいい。
ほとんど素人の抵抗組織にあっさり北朝鮮軍は翻弄されていくのだが、それより米軍は弱かったのかという疑問をおぼえざるをえない。後半で抵抗をつづけるアメリカの軍事組織も出てくるが、それでも多くの地域を占領されている設定はくつがえらない。
また、北朝鮮が単独で侵攻したわけではなく、特殊な兵器を利用したり、ロシアが糸を引いているという背景も明かされる。しかし、ならば素直にロシアの侵略を描く物語にするべきだった。
少数勢力だからこそ心臓部を奇襲するという根幹の説得力や、血飛沫のとびちるアクションのリアリティなどで、個人的には少し前に初配信された『エンド・オブ・ホワイトハウス』が優っていたように思う。