2012年に公開された韓国映画。『インサイダーズ/内部者たち』のウ・ミノ監督の長編2作目。
韓国に潜入して数十年たつスパイたち。本国からの送金はとどこおり、韓国での日常生活を優先している。そこに新たな亡命者が出てきて、十年ぶりに暗殺計画が命じられたが……という物語。
冒頭で現実のスパイ事件を引用しているのが信じられないほど、内容はコメディチック。暗殺計画が発動してからは次々に死者が出ていくが、それも人情劇をまじえながら完全なシリアスにはならない。
BSE問題や現在日本で問題になっているFTAなどの韓国の世相を描き、南北の国家的な対立よりも家族を守りたいと願う男女が戦いに身を投じていく。
暗殺ミッションと同時に別の計画を遂行したり、終盤で主人公が複雑な立場に置かれたり……大切な日常をコメディに、愚かな戦闘をシリアスに、という構図が面白い。
もちろん現代韓国映画らしくアクション描写は高水準で、暗殺計画の銃撃戦はどれもハイレベル。
映画『ヒート』を思わせる街中の銃撃戦はハリウッドに引けを取らないスケール感で、主人公と敵の徒手空拳の格闘戦もスピーディでパワフル。
冒頭の出来事がオチにつながる物語構成もよくできていて、あまり韓国映画好きにも知られていないが、なかなかの佳作だ。