中国歴代興収1位に輝く、2017年の中国映画。銃撃などの人体破壊が強烈なためか、R15で要ログイン。
架空の中国特殊部隊「戦狼」の活躍を描くシリーズ2作目。諸事情*1で部隊をはなれることになった主人公がアフリカの架空国家の内戦に巻きこまれる。
冒頭の海賊撃退アクションからすさまじく、海にとびこむ主人公をカメラが追いかけ、そのまま水中で銃撃をかわし格闘して拘束するまでを長回しで見せていく。
現地で始まる内戦もリアルな市街地の一角に多数の重火器と俳優が投入され、次々に建物が破壊されて逃げまどうサスペンスが楽しめる。小さな商店を舞台にした格闘戦も現代的で、『ジェイソンボーン』シリーズを思わせる。
さらに広々としたバラック街のカーチェイスや工場を舞台にした攻防戦など、とにかく現代中国映画の資金力と、それで発展した技術力を見せつけられた。アフリカ人や第三者国の俳優も多数登場し、まったく映像に安っぽさがない。
しかし各国の艦船や公館が逃げ出す中で中国だけがとどまったり、中国は絶対に国民や友好国を見捨てないというメッセージを前面に出したり、プロパガンダ臭が鼻につかないといえば嘘になる。
そのあたりのツッコミは映画ネタ漫画『邦キチ!映子さん』でおこなわれていた。
邦キチ!映子さん 特別番外編「戦狼/ウルフ・オブ・ウォー」(前編) pic.twitter.com/wGWvSGN2Mz
— 服部昇大/1日目南ツ22a (@hattorixxx) 2018年8月5日
ただツッコミにいくつか疑問もあって、たとえばミサイル発射は虐殺映像の影響力でギリギリで許可が出たという描写のはず。
また、ウイルスはそれが蔓延している国家というところが内戦のポイントで、その病気を治療できる唯一の博士や、博士が残した治療方法が主人公が守り、反乱軍が奪おうとする対象になる。いわゆるマクガフィンというやつだ。
*1:地上げで追い立てられる民衆の苦しみによりそって特殊部隊が戦うのが、資本主義化に葛藤する現代中国を象徴するようで興味深い。