2000年に公開され、好事家に絶賛された中編映画が、玩具「超進化魂 03 ディアボロモン」の発売を記念して、全編を初無料配信。前後に映画の演出を意識した玩具CMあり。
もとは仮想現実空間に入ってモンスターを使役して戦う作品を、仮想現実の外からモンスターに指示する物語として展開。いくつもの事態が同時並行しつつ、カタルシスあふれる結末にいたる、すがすがしい作品だ。
2000年には珍しくリアリティあるインターネット描写と、テンポ良く進んでいくアクションとサスペンス、影無しで作画されたキャラクターの生命感が全編に満ち溢れていて、いまだまったく内容が古びていない。
なお、TVアニメ『デジモンアドベンチャー』の劇場版であり、いくつかTV版の設定や人間関係を押さえておくと、さらに楽しめるだろう。
この作品で細田監督は業界内での注目をあび、東映からスタジオジブリに出向。『ハウルの動く城』を監督していたが、制作途中で降板して、東映に戻ることとなった。
しかしそうした挫折をへて、別会社マッドハウスで監督した『時をかける少女』で国内外から絶賛。つづけたオリジナル作品でも商業的ヒットをつづけている。
そうしたヒット作品のひとつ『サマーウォーズ』の原型として、この『ぼくらのウォーゲーム!』があるともいえる。デジタル空間の表現や、クライマックスの演出などを見ればリメイクに近いといっていいくらいだ。
しかも中編だけあって内容が凝縮されていて、登場人物も整理されていて無駄がない。SFとしてのツッコミどころも、デジモンという架空の存在に集約することで、リアリティが壊れない。