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虐殺の実行者が虐殺を再演する『アクト・オブ・キリング《オリジナル全長版》』(02:46:21)配信終了日:2016年5月29日

2014年に作られ、アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞を受けた。続編の『ルック・オブ・サイレンス』も高い評価を受けている。

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1965年にインドネシアでおこなわれた虐殺。それを命じた者や実行した者は、今もインドネシア社会で平和にすごしている。

その現在を取材しようと乗りこんだドキュメンタリー作家が、虐殺を追及しようとして、まったく悪びれない虐殺者に困惑していく……

 

公開時に各方面に衝撃を与えた作品であり、東アジアの歴史をふりかえるにあたって必見の作品のひとつ。

映画「アクト・オブ・キリング」|公式サイト 2014年4月 シアター・イメージフォーラム他 全国順次公開

デヴィ・スカルノ夫人との関係で、日本にも間接的なかかわりがある。劇中の冒頭では、西側諸国が虐殺を助けたことが字幕で示唆される。

インドネシアで起きたのは反共産主義者への虐殺だった。虐殺を実行した自由人「プレマン」が語る共産主義者の印象や、反共の国策プロパガンダ映画に登場する共産主義者の残虐ぶりは、むしろ映画に映る「プレマン」自身に当てはまるものばかり。

「プレマン」自身が堂々と誇らしげに再現する虐殺映画が、その歴史がそのまま現在の社会に二重写しとなっていく……

 

それでも、再演を通じて心情のぶれを見せていく「プレマン」たちに、かすかな救いを感じなくもない。

2時間半以上の尺を長いとは感じさせない、傑作であった。