『セッション』*1が絶賛されたデミアン・チャデル監督による、2016年のアメリカ映画が初配信。
現代では珍しい直球ラブロマンスのオリジナルミュージカル映画で、アカデミー賞で最多ノミネートされ、6部門で受賞。
ハリウッドに夢を見ながらくすぶる女性と、ジャズピアノの腕はいいが偏屈な男性の、くりかえす偶然の出会いから互いの夢を燃やしていくまでを描く。
ハリウッドを舞台として過去の映画にオマージュをささげるように、シネマスコープ上映ということを最初にテロップで表示し、キネマカラーのようなカラフルな色彩設計で撮影。
時がうつろい、華々しい成功と表裏一体の苦味*2をかみしめるような映画として完成した。
夢物語でありつつ、違う選択肢を夢見る作品ではあるが、とにかく刺々しい『セッション』よりも娯楽作品として見やすい。
冒頭の高速道路ミュージカルのように、フラッシュモブ的な現代的なミュージカル解釈を楽しめる場面も多い。
ただ、クライマックスの直前でヒロインがオーデションでおこなうアドリブ一人語りは、ミュージカル演出を使わず、逆にそこだけ無音で淡々と見せたほうが際立ったのではないか、と感じたかな。
*1:音楽で視野狭窄におちいった指導者と弟子の、たがいを傷つけあうジャズ『セッション』(01:46:36)配信期間:2018年2月23日~3月15日 - フリームービーメモ@はてな 今回は3月23日まで無料配信。セッション | 映画 | 無料動画GYAO!
*2:しかし、そもそも主人公の男女はたがいが初めての恋愛対象ではなく、序盤には違う恋人らしき存在がいるわけで、結末はそれほど重いものとは感じなかった。