6体のロボットが合体する、1981年のTVアニメを、女性人気を受けて1982年に映画化。夏につづいて*1、無料配信を1週間。
横山光輝による、異星人が地球人を裁定するためにロボットをおくりこむ漫画『マーズ』。遺跡をモチーフにしたロボットデザインと、あまりに印象的な結末は、いまなお前衛的に感じられる。
そのような漫画を原作としながら、幼少時に地球におくりこまれた異星人が地球側につく部分と、一部のネーミングだけを活用して、ごく普通のロボットアニメとして展開したのが『六神合体ゴッドマーズ』だった。
もちろん侵略異星人の一部が地球側の反抗手段となる設定だけなら1977年の『超電磁マシーン ボルテスV』などの先例があるわけで、さほど斬新なTVアニメではなかったのだが、本橋秀之による美形なキャラクターデザインと担当声優がアニメファンに受け、金田伊功の流れをくむロボットアクションも評価が高く、当時は大人気となった。
そして女性ファンの人気を受けて制作されたのが、この映画というわけである。今ならばクラウドファンディング映画で見られるような、署名活動に参加した女性ファンが長々とクレジットされるエンドロールがすごい。
映画そのものは、人気の高い兄弟愛にストーリーを集約したことが、映画としてのまとまりの良さを生んでいる。主人公のマーズまわりの地球人メンバーの描写が少ないことで異星出身の孤独がうかびあがり、疑似的な父に洗脳されてマーグが襲ってくる流れもわかりやすい。
TV版でも合体後にほとんど動かず、必殺技を出す状態にすぎなかったゴッドマーズを、劇場版ではクライマックスで初めて合体させるという改変も悪くない。ロボットの姿で物語の連続性を強めつつ、合体による逆転の爽快感を高めていた。
さすがに今となっては作画も物語も古いが、時代性を考慮すればひとつの物語としてTV版を知らずとも楽しめるだろう。