ふむめも@はてな

フリームービーメモ。GYAO!、YOUTUBE、バンダイチャンネル、ニコニコ動画、等々で公式に無料配信されているアニメや映画の情報や感想

眠気をさそうことで有名なタルコフスキー監督の詩的な映像作品『ノスタルジア』(02:05:39)配信終了日:2016年5月26日

1983年のソ連とイタリアの合作映画。この制作を機会に亡命したことでも有名。

gyao.yahoo.co.jp

まず、GYAO!のあらすじだが、物語の結末まで説明している。新鮮な気持ちで楽しみたいなら読まないこと。

 

狂信者をめぐる奇妙な物語だが、とりあえず映像を見れば、その美しさだけでも楽しめるだろう。

画面のすみずみまで計算されつくした撮影は、どこまでも自然に見えて、だからこそ突発的な異常事態の驚きもきわだつ。

 

なお、今回に配信される映像は、どうも撮影監督が色調整したリマスター版らしい。たしかに映像の細部がクリアになっている。

しかし過去のフィルムではさまざまな色調だったモノクロ部分が、どれも単調なモノクロになっている。

色調が違っていたのはフィルムの劣化によるものだそうだが、始めて視聴したのがその変色版なので、個人的にリマスター版の色調は好きではない。

新世紀に向けた富野由悠季監督の復活作品『ブレンパワード』(全26話)配信開始日:2016年5月5日

1998年のオリジナルロボットアニメ。金曜3話ずつ更新で、2週間無料。

gyao.yahoo.co.jp

滅びかけた世界で、オーガニックなマシンが戦う生命賛歌。

 

機動戦士Vガンダム』の制作後、鬱状態になったという富野監督。事実その後しばらくガンダムシリーズは他の監督が手がけるようになった。

しかし富野監督はオウム真理教によるテロ事件や、大ヒット作品『新世紀エヴァンゲリオン』に色々な危機感をおぼえ、この作品を作りあげた。

 

さて作品そのものについてだが、WOWOWで有料放映された初めてのオリジナルTVアニメだが、映像は当時の水準より少し良いくらい。せっかくの永野護いのまたむつみの魅力的なデザインも、充分に活用できているとはいいがたい。現在の基準で作画が良いのは第10話くらいか。

しかもファンから「富野台詞」と呼ばれる会話の癖も強烈で、とっつきづらい作品ではある。登場人物の行動も感情まかせだったり、まともなコミュニケーションをとらなかったり。あくまで鬱期を脱するまでの手さぐりの作品だ。

なお、登場人物の言動が最もわかりにくいのは第1話。主人公の少年少女を無理やり出会わせたことと、敵対する陣営へ移るまでのショートカットが説明不足なことで、全体の印象が悪くなっている。つまり、あえて第1話を見ない方が素直に楽しめるかもしれない。

カメラ視点で描かれる、ハイテンションなオムニバスホラー『V/H/S ファイナル・インパクト』(01:21:02)配信終了日:2016年5月11日

洋画ホラーマニアに高評価のオムニバスシリーズの、ややマニア評価の低い3作目が初無料配信。

gyao.yahoo.co.jp

シリーズではこの3作目の評価が低いが、GYAO!のユーザーコメント評価は低すぎる。おそらく説明文の「ファウンド・フッテージ」が説明不足だったためもあるだろう。残された映像を使ったという趣向で、主観映像(POV)を特徴とする。それが独特のリアリティを生みだし、低予算ゆえの粗い撮影を演出効果として活用できる。近年では『パラノーマル・アクティビティ』が有名。

このシリーズの独自性は、普通は低予算をごまかし、現実を撮影したようなリアリティを目指すジャンルで、あえてVFXを多用して堂々とモンスターを見せること。白石晃士監督作品に近いが、もっと予算を投入しているし、語り口の幅も広い。

 

主な4エピソードは以下のとおり。

「Vicious Circles」関連性のない各話の前後に入っている、謎のカーチェイスをめぐる物語。派手な空撮やスプラッターも飛び出すが、オチはフェイクドキュメンタリーの自己批判という使い古されたネタ。それをカタストロフを予感させる映像として見せたことだけが良かった。

「Dante The Great」凄腕の手品師(マジシャン)が、その芸を見せるため実際に悪魔へ生贄を捧げる魔術師(マジシャン)だったという物語。その手品師自身が撮影していた映像と、事件発覚後に有識者がコメントする報道番組をくみあわせている。悪魔のアイテムを入手して調子にのっていく手品師のキャラクターが素晴らしい。ただしPOVのはずなのに誰が撮影したかわかりにくい場面がある。

「Parallel Monsters」並行世界への通路をつくりだした男が、並行世界の自分と15分間だけ入れかわってみる。藤子・F・不二雄のSF短編『ぼくの悪行』を思わせる、よくできたショートショート。どちらの世界の男も、そして家族や友人も悪意はまったくない。そのすれ違いが物語として深みすら感じさせる。実験のため撮影する必然性があるし、「モンスター」が姿を見せるまでの不穏な空気感も地味にいい。

「Bonestorm」身勝手に遊んでいるスケートボーダーが、メキシコで自由に滑ろうとして、謎の儀式に巻きこまれる。ガイコツ姿の集団を虐殺していくスケートボーダーに共感はわかないし、かといって邪悪な存在らしい集団に共感することもできない。無軌道な若者の破滅を第三者として楽しめばいいか。