園田健一の漫画を原作として、AIC制作で1989年に中編OVA化された作品。漫画『ガンスミスキャッツ』の雛形にあたる。
さっぱりした絵柄だが、流血や裸体が多めで、けっこうアニメとしては刺激的。B級ハリウッドアクションをアニメとして再現しようとした作品というべきか。
怪物的な強さの主人公と、変装を駆使する敵と、物量でせまる警察の、三つ巴のアクションが展開。どんでん返しが『ルパン三世』のように連続し、きちんとドラマが完結する。
CGがない時代ゆえに背景やメカも全て手書きで動かし、充分にクオリティも高い。大平晋也や田中達之といったマニアックな名前から、橋本敬史や岸田隆宏のように現在も活躍しているアニメーターが多数参加。
なおGYAO!の説明文では「『ガールフォース』『バブルガムクライシス』両シリーズで、絶大な人気を誇る園田健一」とあるが、前者の作品名は『ガルフォース』だし、参加したのはデザイナーとしてにすぎない。
何度もアニメ化された長期連載漫画『ガンスミスキャッツ』を代表作として説明するべきだろう。
ドイツ人でただひとりのヘビー級ボクサーが、ナチス政権下でアメリカ人ボクサーと戦った。その数奇で英雄的なドラマを描く。
ザ・ファイト ～拳に込めたプライド～｜無料動画 GyaO!｜映画
2010年に公開された、ウーヴェ・ボル監督の傑作。ボル監督といえばラジー賞の常連だが、なぜか社会派な題材では適度に娯楽的な作品をシリアスに完成させ、批判者を困惑させる。
この作品も、スパイク･リー監督が制作しようとしていた重厚な題材ながら、映画作品として見事に結晶化している。GYAO!のレビューも絶賛。
とにかく強さと優しさに満ちた主人公マックス・マヌスが魅力的。
水晶の夜で子供をかくまったり、ユダヤ人のマネージャーを守りつづけたり、ナチスに体制にあらがいつづけながら試合へと向かっていく。
英雄譚であると同時に、ドイツ史の影に真摯に向きあった物語であり、ただの優等生の賛美では終わらない。
対戦相手のジョー・ルイスもボクサー史に残る名選手。今よりも人種差別が激しかった時代、アフリカ系として米国を代表する存在にまでなった。
