2015年の韓国映画が初無料配信。タイトルはライトタッチだが、刑事ドラマらしいアクションとスリラーが展開される。
警察官の道を挫折し、小さな漫画喫茶の片手間に未解決事件ブログを運営している男が、素人探偵として活躍。
シャーロックホームズよろしく、警察の捜査現場に顔を出して、容疑者の服装などから犯人ではないと指摘したりする。
そして先輩刑事の妻が殺された事件に巻きこまれて、ひとりの刑事とコンビを組んで謎を解くことに……
一見すると関係なさそうなドラマが同時進行するが、最後まで見ると謎解きサスペンスとしてどれも必然性がある。
馬鹿な探偵ごっこにのめりこむ主人公に妻があきれはてるドラマも、ちゃんとメインストーリーにかかわっていく。
最も怪しい若者がコスプレイベントにまぎれていて、それを自転車で追跡したりするアクションも楽しい。
本格ミステリとしてのプロットがけっこうよくできていて、古典的なトリックのシンプルな応用に感心させられた。
序盤に浮上する怪しい二人組の存在が、この映画を本格ミステリたらしめているポイント。ミステリにおいてアンフェアとされる「共犯者がいる」ことを観客に知らせておいて、それがどのようなトリックにむすびつくかを考えさせる。
主人公が冒頭で展開する推理が本編にかかわってくるのもいい。そこから加害者が被害者を「衆目にさらして」、なぜか「犯行時刻を確定」させたという謎が示される。
そして殺人の「実行犯」の見当が先につくという物語の流れによって、「実行犯を隠す」ことが目的の「交換殺人」がおこなわれたことを観客に気づかせない。