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人が悪で、虫と獣が善という珍しい構図のホラー『フェノミナ』(01:55:29)配信終了日:2017年5月17日

1984年に公開された超常ホラー作品。ここのところ続いているアルジェント作品配信の一環。

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次々に善人が殺されていくスラッシャー映画の主人公に、昆虫と仲の良い少女をあてがった変化球。

しかしアルジェント作品にしては人工的な耽美性は抑え目で、ゴブリンによる競争的な音楽を除いては一般的によくできたホラー映画に近い。スイスの美しい高原を舞台とした殺戮劇のコントラストも印象的で、昆虫や動物を使った撮影もかなりリアル。

それでも主人公が夢遊病の設定で、特に本筋に関係なく高所から落ちそうになったり、夢の中で不思議な屋内を目撃したり……さらに殺人犯のアジトが舞台セットのようだったりするのは、やはりアルジェントらしい作風といえるか。ガラスを割りながら死ぬ演出も過去のアルジェント作品にあったものだ。

麻耶雄嵩作品を思わせる、アンチミステリ的なサスペンス『シャドー』(01:41:07)配信終了日:2017年5月10日

小説『シャドー』に関連する連続殺人事件が発生し、小説家が主人公として警察に協力するサスペンス。1982年に公開。

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ここのところ連続して配信されているダリオ・アルジェント監督作品のひとつ。『サスペリア』以降にオカルトホラーへ移行していたアルジェント監督が、ひさびさに超常現象の出てこない猟奇殺人サスペンスを手がけた。

人工的な映像美を排して、現実のモダンな建築にロケしている。とはいえBGMのプログレッシブぶりは過去作品と変わらないし、流血の惨劇を正面から映す表現は当時のスプラッタ―ブームによってさらに過剰に。目撃した出来事がクライマックスで回想され、異なる意味に気づくという手法も過去作のまま。

しかし、連続殺人事件の全貌を真相開示の前に気づく観客はなかなかいないだろう。誰が見ても犯人としか思えない人物が予想外の結末をむかえてから、映画全体の構造が変わっていく。

犯人ではありえない「主人公」が「連続殺人に便乗する」ために犯人を「殺して」、それゆえ「アリバイ」を入手するという展開は麻耶雄嵩の某作品を連想させる。さすがに全体として整合性や伏線は不足しているものの、どんでん返しとしてはよくできているといっていい。

けっしてリアルなサスペンスを期待してはいけないが、人工的な世界で読者を驚かすミステリに近い雰囲気はあるのだ。

 

また、くりかえしイメージシーンで登場する赤いハイヒールの女性は、エヴァ・ロビンスが演じている。

ロビンスは男性として生まれたが、現在までは女優として生きている。なるほどそう知って見ると体型は欧米人にしてもガッシリしているが、同時に超越的な美しさを感じさせ、ファムファタールらしい魅力にあふれている。

ヒッチコックからの影響が色濃いダリオ・アルジェント初監督作品『歓びの毒牙(きば)』(01:36:26)配信期間: 2017年3月28日~2017年4月27日

1969年のモダンなサスペンス映画。イタリア滞在中に連続殺人に巻きこまれた作家を描く。

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序盤のガラス張りの殺人事件というシチュエーションの面白さと、間の悪い主人公に襲いかかる危機の数々というサスペンスで、見ている間はそこそこ楽しい。

どんでん返しは現代では珍しいものではないし、真犯人の動機などで謎解きは甘いところもあるが、真相を理解してから序盤を見返すとサスペンス性が増大するしかけはよくできている。後年の代表作『サスペリアPART2』のプロトタイプといったところ。

ダリオ・アルジェント監督のトリッキーなサイコサスペンス『サスペリアPART2 完全版』(02:06:35)配信終了日:2017年4月20日 - フリームービーメモ@はてな

もうひとつ面白いのが、前時代的なサイコサスペンスながら、性的マイノリティを安易に異常者あつかいしないところ。被害者のひとりはレズビアンだが、良くも悪くも深入りしない。警察が性犯罪的な過去がある容疑者をずらっと並べる場面では、最後に出てきた女装者を除外するよう上司が指摘する。

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この字幕、見れば見るほど味わいぶかい。