2020年1月に公開された完全新作の映像化を、初無料配信。メインキャラクターのデザインから予想外のグロテスク描写がとびだすためか、要ログインのR15。
巨大な大穴に降りて、肉体を変容させながら冒険をつづける者たちがいた。少女リコとロボット少年レグ、さらに肉体がウサギ人間化した子供ナナチは、さらに奥深く旅をつづける……
つくしあきひと原作漫画のハイクオリティな映像化で話題になったTVアニメ版から、スタッフがそのままスライド。
マッドハウスで活躍した小島正幸監督や、ProductionI.Gで活躍する黄瀬和哉キャラクターデザイナーが、キネマシトラスで制作した。
この映画で描かれるのは、奇妙で恐ろしい生物がはびこるアビスを、超技術と経験で冒険していく物語の関門。ひとつの基地において、ひとりの狂気と子供たちが対峙する。
オリジナリティあふれるビジュアルデザインに目をうばわれるが、マッドサイエンティストと戦う一種のSFとしてオーソドックスに完成されている。
ほとんどひとつの基地を出入りするだけだからこそ、おそらくTVアニメ版を見ていない観客でも混乱なく楽しめるだろう。位置関係も明確で、バトルもしっかりした伏線で機転をつかって、展開に説得力がある。劇場アニメということを考慮すれば、もっとアクションはロングショットをつかってほしかったが、クローズアップで光線技などの派手さを見せる方針も悪くはない。
ゲストキャラクターの少女も、出会って別れる定番の役割りといえばそれまでだが、ていねいに深く描ききることでドラマにふさわしい存在感が出ていた。