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高貴な少女たちの秘密は闇鍋の底に沈む『暗黒女子』(01:44:57)配信期間:2020年12月18日~12月31日

2017年の日本映画。公開前後に幸福の科学への移籍騒動を起こした清水富美加が主演。おそらく初無料配信が2週間。

gyao.yahoo.co.jp

名門女子高で崇拝されていた少女が、なぜか飛び降り自殺したという。

少女が会長をつとめていた文芸サークルの会員たちは、追悼のために恒例の闇鍋会をひらき、少女の真実にまつわる物品をもちこむ。

そして会員たちはそれぞれの視点による手記を朗読して、少女を死なせた責任者を告発しようとするが……

 

秋吉理香子*1の小説を原作とする謎解きサスペンス。若者の生々しい描写に定評のあるアニメ脚本家の岡田麿里が、初めて実写の脚本を手がけた。

設定こそ現実だが、きわめて人工的なシチュエーションで少女たちのおぞましい本性をむきだしにして、その衝突を描いていく。

 

いかにも文芸サークルらしい創作の苦しみがかかわってきたり、女子高らしい同性愛いわゆる百合な愛憎関係が描かれたりもする。

枠物語と呼ばれるオムニバス形式で、さまざまな立場の少女たちの物語を描いていく構成は、そういう作品が好きな人にはたまらないだろう。

配役などから真犯人は見えすいていると柳下毅一郎の映画皆殺し通信で批判されているが、どんでん返しをくりかえした結果として平凡なオチに戻ったパターンなので、そこまでの難点とは思わなかった。

www.targma.jp

 

しかし首をかしげるのが、闇鍋というシチュエーション。戦前からつづく和風の女学校という設定ならまだしも、洋風のミッション系高校の雰囲気にはふさわしくない。

個々人が小道具をもちよるシチュエーションなら、クリスマスのプレゼント交換などもっと適切なものがあったろう。食べることに意味があるオチ*2をやりたいなら、クリスマスのプティングなどと組みあわせればいい。

 また、いくら終盤でひっくりかえすための準備とはいえ、そこまでの会員ひとりひとりの推理が根拠薄弱で、あまり面白味がないことも残念だった。

*1:アニメの脚本や監督を別名義でおこなっていると出版社の作品ページに書かれているが、それらしい人物が思いあたらない。株式会社双葉社 | 暗黒女子

*2:一応、清水富美加が俳優をやめるきっかけとして語られていた理由が『東京喰種』とかぶっていることでも話題となった。しかし悪趣味サスペンスではこれはこれで珍しくないオチではある。