2008年のベルギー映画『ロフト.』をリメイクした2010年のオランダ映画。舞台劇のような閉鎖的シチュエーションで、トリッキーなミステリとして完成されている。
中層ビルの最上階にあるロフトから、何者かが墜死するというミステリアスな冒頭でつかみは万全。
そこから富裕層の男たちによる女の死体をめぐる論争が展開され、少しずつ謎がひもとかれていく。
男たちの同志的な関係や、ちゃんと全裸やセックスを描く浮気場面など、限定されたシチュエーションでも刺激が多くてエンタメとして飽きさせない。
やや登場人物は多いが、基本的に5人の男とそれぞれの妻、さらに浮気相手の女性数人という順序でおぼえていけば物語を追っていけるだろう。
どのような動機で女性が閉所に、しかし5人の男たちには必ず見つかるように投げ出されたのか……その真相は「ロフト提供者」が他4人の「大切な女」を「寝取っていた」というシンプルかつドラマとして印象的なもの。回想場面とてらしあわせた時の納得感も充分。
さらに「遺書」が「見つからない」という違和感で謎解きがつづいていく。そこで最も「主人公」っぽかった「誠実」そうな男が「不能」だったという真相が示される。この真相は事件の中核をなす中盤の出来事とてらしあわせても納得感があり、かつ女に対する男の愚かしさを印象づけるドラマとして成立している。
やや性愛のドラマにかたよりすぎた感じはあるものの、トリッキーなミステリが好きなら見て損はない。
ちなみにこの映画自体がリメイクだが、さらに2014年にベルギーのオリジナル版を手がけた監督がハリウッドにわたって米国映画として再リメイクされた。このことからもオリジナルストーリーの完成度の高さがわかる。
