金子修介監督、伊藤和典脚本、樋口真嗣特技監督がタッグを組み、モダンな演出とスリリングな展開をあわせもった怪獣映画シリーズとして完成した。
実景とみまごう精緻なミニチュア特撮と発展途上のCGVFXの的確な活用も、いまだ見ごたえを感じさせる。粗いところはあれど情景の美しさと手間暇かけた情報量は今でも感じられるだろう。
何度も無料配信された1作目は、1995年の作品。正統的な怪獣映画の復権として『キネマ旬報』の年間ベストにランクイン。
ホラータッチで怪獣の存在感を少しずつ増していき、後手後手の対応で被害が広がりつつ、巨大怪獣の決戦へと収束するストーリーの流れが美しい。
2作目は1996年に公開。約1年半しか期間がないが、前作の経験と技術の蓄積で完成度を増した。
新たな敵怪獣レギオンのSF設定のたくみさと、その謎が解かれていく面白味。その結果としてくりひろげられる怪獣の多彩なシチュエーション。見せ場のバランスがよくとれた傑作だ。
ほとんど無料配信されたことのない3作目は1999年に公開。世紀末を目前とした絶望感が全編に満ちた作品だ。
2作目でSF寄りになった世界観が、ふたたび1作目のようなオカルトへと転調。緻密さを増して最新VFXと見劣りしない特撮とのアンバランスさが、公開時は不評だった。
しかし2作目を抜いて*11作目から続けて見れば、シリーズ最初の問題提起を受けとめて答えを出そうとする作品ということがわかる。オカルトファンタジーな小道具もけして唐突ではなく、1作目の延長線上にとどまっている。
いまだ日本映画のひとつの特撮の頂点にたつ作品の、孤高な雰囲気をたしかめるために見て損はない。