アカデミー外国語映画賞に出品*1された2011年の韓国映画。WEB配信そのものが滅多にされない作品が、予告にない初無料配信。
朝鮮戦争の末期、最前線の高地へ内部調査にむかった中尉が、最前線部隊の驚くべき状況を知りながら、激しい戦闘に巻き込まれていく。
架空の戦場を舞台に、韓国映画ならではの泥臭いアクションを見せながら、あまりにも過酷な結末へつきすすんでいく……
民主化運動の弾圧を描いた『タクシー運転手』で内外から絶賛されたチャン・フン監督の、出世作のひとつ。
予告映像や作品情報の多くでネタバレをしているので、できるだけ事前情報をもたずに視聴することを薦める。
逆に、予告映像では紹介されない情報が映画の本筋だったりする。配給会社の判断ミスと思わざるをえない。
しかしネタバレされた状態で見ても、つくりこんだ映像の素晴らしさは味わえるだろう。
建物も兵器もほとんど画面に登場しない、何の変哲もない自然の野山に見せて、そこには戦場らしい空気がただよう。それも当然だ、草木から岩の色にいたるまで、美術スタッフが入念に作りこみ、場面ごとの雰囲気にあった舞台をつくりあげているのだ。
物語構成もよくできていて、最前線の兵士たちは敵も味方もキャラクターが立っていて、終盤まででも戦争映画としてよくできているからこそ、終盤の展開に唖然とさせられる。
戦争の虚しさを徹底的に画面へ刻みつける作品として必見だ。