ロス市警の全面協力で2012年に制作。『トレーニング・デイ』の製作と脚本で知られるデヴィッド・エアーが製作脚本監督。初無料配信が1ヶ月。
主人公コンビは、警官としてもやや貧しかったり、人種的マイノリティが出自。
だから仕事でふざけもするし、ひどすぎない悪事は大目に見たりする。しかしさまざまな事件に直面して、危険をかえりみず行動する姿から、真摯な魂がつたわってくる。
あくまでロス市警は賛美しているが、他の部署との衝突なども描かれており、治安組織を手放しで肯定しているわけではない。おかげで、プロパガンダ臭さが抑えられている。
映像の特色は、「POV」や「ファウンド・フッテージ」と呼ばれる手法をつかっていること。車載カメラを利用したカーチェイスに始まり、不良警官コンビが手持ちカメラなどで互いの日々を映していく。犯罪者側も自分たちの活動をカメラで撮影していく。
ただし同手法の作品に比べて徹底していない。主人公コンビにふみこまれる側の背後から手持ちカメラで撮影している場面があるのに、踏みこまれる側はカメラを持っていなかったり。主人公コンビが難所にとびこんでいく場面で、存在しないはずの第三者が撮影していたりする。
劇中映像だけで構成した作品と誤解していると、カメラの存在に違和感が大きい。あくまで基本は普通の劇映画で、そこに劇中で撮影した映像をおりまぜていると考えて観るといいだろう。
さほど予算をつかった大作ではなさそうだが、映画らしい見せ場は充分に散りばめられている。
カーチェイスや銃撃戦といったアメリカ映画の定番だけでなく、突発的な火災事件にたちあったり、社会問題に直面したり、陰惨な虐殺を目撃したり。そうした事件をPOV手法で生々しく描き、主人公コンビの奮闘も汗臭く描かれる。
重苦しい闇のなかの、それでも正義を信じる一瞬の輝き。それを感じることのできる佳作だった。