現在では雑学者として知られる荒俣宏の小説を原作に、バブル期の西武グループが約10億円を投じてつくった超大作。
『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』といった特撮ドラマで大人向けの前衛的な演出をこころみていた実相寺昭雄が監督したが、目指した表現には予算が足りなかったという。
たしかに巨大なオープンセットやミニチュア特撮、いくつかのモデルアニメには見どころがあるものの、クオリティが安定しないため、予算に比べて稚拙な場面も目立つ。表現手法で冒険せず、クオリティを安定させた続編『帝都大戦』に総合的な印象では劣るか。
とはいえ、さまざまな怪異の歴史をくみこんだ都市伝説のようなつくりと、この作品でデビューした嶋田久作が演じる怪人“加藤保憲”の存在感は見どころだ。