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現代ロシア映画らしいハイレベルなVFXの、複合災害パニック『フライト・クルー』(02:03:17)配信期間:2020年12月8日~2021年1月7日

2016年のロシア映画。もう終了間近だが、字幕と吹替で初無料配信が一ヶ月。

gyao.yahoo.co.jp

権力と規則に反抗して墜落寸前の輸送機を救った軍用パイロットが、 民間パイロットに転職。あいかわらず規則にしたがいたがらないものの、その腕前で訓練生として旅客機を操縦する。

しかし紆余曲折して、チャーター機を移送していたところ、火山島で工場従業員や島民が救助を待っているとの報告が入る。緊急着陸したその島は、地震と溶岩で崩壊寸前だった……

 

火山によって旅客機がパニックになる設定は古典的*1で大味だが、ソ連映画の流れをくむロシア映画の静謐な演出で、冷たく静かに危機にたちむかう。

主人公の性格こそハリウッド的なヤンチャさだが*2、ナンパなどでも小粋なジョークをとばしたりはせず、クライマックスの操縦でも耐え忍ぶ姿を見せる。そこで身体をはって肉体を危険にさらすのは名も無き中年男性だったり、子供を守ろうとする女性たちだ。

そうして老若男女をバランス良く自然に活躍させるのも、ソ連時代から男女均等を推進したロシアらしい*3

ロケやセット、VFXのクオリティは高くてパニック映画としての見どころも充分ある。冒頭で主人公の性格を見せる軍用機の3DCGからして完成度が高く、中盤に主人公を公開させるアフリカのクーデターも短い描写ながらリアリティは充分。

ハリウッド的な騒々しさでもりあげる災害パニック映画に飽きた人なら、見て損はないだろう。

*1:直前に公開されたアサイラム制作の低予算映画『エアポート2014』も似た設定。

*2:命知らずぶりを「カミカゼ」と、堅実な教官に批判されるところが日本の観客として興味深い。物語の位置づけとして自己犠牲的で、必ずしも全否定していないところも面白い。

*3:それでも劇中の女性パイロットは偏見に苦しんでいる描写が興味深い。