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フリームービーメモ。GYAO!、YOUTUBE、バンダイチャンネル、ニコニコ動画、等々で公式に無料配信されているアニメや映画の情報や感想

アニメーションの娯楽性に満ちたシリーズ総決算『マクロスF(フロンティア)』(全25話)配信期間:2018年3月1日~3月7日

2007年に放映され、シリーズで最大級のヒットを飛ばした作品が、ひさしぶりに無料配信。シリーズ最新映画にあわせた「マクロスシリーズ 特集|無料動画|GYAO![ギャオ]」の一環。

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シリーズのお約束を踏まえつつ、少しずつずらすことで、期待にこたえつつ予想を外す。2クールにわたって次々に見せ場となるエピソードを投入して、バラエティたっぷりに楽しませてくれた。

映像表現でも、OPやEDを何度も変更して、意外性を展開。ほとんどのメカを3DCGで表現しつつ、操縦席に変形するパワードスーツなどで手描きメカ作画を使ったり、細かいところまでサービスが効いている。

放映時は三角関係の行方で視聴者が争いを起こすほどキャラクター人気が高く、はっきりしない結末もふくめて今でも一部では尾を引いているが、10年以上たった現在ならば落ちついて見ることができるだろう。

 

どのエピソードもよくできているのだが、あえて今回ひとつにしぼるなら歴史番組を劇中で制作する第10話だろうか。

マクロスF(フロンティア)[B-ch] #10 レジェンド・オブ・ゼロ-動画[無料]|GYAO!|アニメ

実はこれ、同時配信されている前日譚『マクロス・ゼロ』のセルフパロディとなっているのだ。比較してみると楽しい。

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リアルな戦闘機に変形するロボットシリーズの、シリアスな前日譚『マクロスゼロ』(全五章)配信期間:2018年3月1日~3月7日

2002年から発売された各話30分以上のOVAが初無料配信。シリーズ最新映画にあわせた「マクロスシリーズ 特集|無料動画|GYAO![ギャオ]」の一環。

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先日に配信された『マクロス2』以外のシリーズ全作品にかかわり、特徴的なロボットデザインも手がけてきた河森正治監督が、異星人との襲来という本筋を前にした人類同士の衝突と、異文化の共鳴を描いていく。

きちんと取材された南国の島の美しさと、その自然が傷ついていく痛み。青臭くもシニカルな主人公が、少しずつ人間性を回復していく姿。主人公側の勢力も、軍隊ゆえの暴力性から逃れることはできない。それでいて未開の文化を安易に美化しすぎることもなく、現地なりの打算や、文明を求める心情も映しとっていく。視野が広くて、物語のまとまりもいい。

ただ、地に足をつけたSF戦争アニメゆえに、結末の救済がやりすぎかつ説明不足で、発売当時は困惑させられた。しかし後日談も描かれた現在ならば、結末もふくめて素直に楽しめる。

 

さらに板野サーカスと呼ばれるアニメアクション演出で知られる板野一郎特技監督がタッグも参加して、3DCGを使って全く新しい空中戦を展開した。遠近感を強調しつつ自由自在なカメラワークが楽しめる。

プラモデルの箱絵などを手がけるイラストレイターにテクスチャを描かせて、リアルでいて手描きアニメとなじむ3DCGメカニックを表現したことも印象的だ。

エウレカセブンのスタッフによる、有料チャンネル向けハイクオリティSFファンタジー『亡念のザムド』(全26話)配信開始:2018年2月19日

2008年にプレイステーションストアで北米先行配信され、2009年に一部で地上波放映されたオリジナル連続アニメ。月・木に1話ずつ初無料配信。

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交響詩篇エウレカセブン』の第26話などを担当した宮地昌幸が監督、第48話などを担当した野村祐一がメインライター。制作会社も同じボンズで、有料WEBアニメならではのハイレベルな作画が毎回のように楽しめる。

スタジオジブリ出身の宮地監督らしい生活感あふれる日常と、油臭い戦場がいりまじった世界観は魅力たっぷり。序盤のアクションも劇場アニメのような華々しさがあり、生きている人々が傷ついていく痛々しさもある。

交響詩篇エウレカセブン』と主人公が戦争に対して距離をとっていて、同じように中盤はストーリーが停滞するとして不評だが、それもふくめて真摯な作りのファンタジー。一見の価値はある。