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フリームービーメモ。GYAO!、YOUTUBE、バンダイチャンネル、ニコニコ動画、等々で公式に無料配信されているアニメや映画の情報や感想

劇中映像を通してリアルに描く、不良警官コンビの捜査活動『エンド・オブ・ウォッチ』(01:48:36)配信期間:2018年2月11日~3月10日

ロス市警の全面協力で2012年に制作。『トレーニング・デイ』の製作と脚本で知られるデヴィッド・エアーが製作脚本監督。初無料配信が1ヶ月。

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主人公コンビは、警官としてもやや貧しかったり、人種的マイノリティが出自。

だから仕事でふざけもするし、ひどすぎない悪事は大目に見たりする。しかしさまざまな事件に直面して、危険をかえりみず行動する姿から、真摯な魂がつたわってくる。

あくまでロス市警は賛美しているが、他の部署との衝突なども描かれており、治安組織を手放しで肯定しているわけではない。おかげで、プロパガンダ臭さが抑えられている。

 

映像の特色は、「POV」や「ファウンド・フッテージ」と呼ばれる手法をつかっていること。車載カメラを利用したカーチェイスに始まり、不良警官コンビが手持ちカメラなどで互いの日々を映していく。犯罪者側も自分たちの活動をカメラで撮影していく。

ただし同手法の作品に比べて徹底していない。主人公コンビにふみこまれる側の背後から手持ちカメラで撮影している場面があるのに、踏みこまれる側はカメラを持っていなかったり。主人公コンビが難所にとびこんでいく場面で、存在しないはずの第三者が撮影していたりする。

劇中映像だけで構成した作品と誤解していると、カメラの存在に違和感が大きい。あくまで基本は普通の劇映画で、そこに劇中で撮影した映像をおりまぜていると考えて観るといいだろう。

 

さほど予算をつかった大作ではなさそうだが、映画らしい見せ場は充分に散りばめられている。

カーチェイスや銃撃戦といったアメリカ映画の定番だけでなく、突発的な火災事件にたちあったり、社会問題に直面したり、陰惨な虐殺を目撃したり。そうした事件をPOV手法で生々しく描き、主人公コンビの奮闘も汗臭く描かれる。

重苦しい闇のなかの、それでも正義を信じる一瞬の輝き。それを感じることのできる佳作だった。

物語はシンプルだが、空中戦はアニメーションのひとつの到達点『マクロスプラス』(全4話)配信期間:2018年2月15日~2月21日

1994年に発表された、各エピソード約40分のOVAが初無料配信。メインスタッフは後にオリジナルTVアニメ『カウボーイビバップ』を作り、さらに高く評価された。

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物語の基本は、戦闘機に変形するロボットの技術試験と、かつての恋人をめぐる男と男の対立。そこにSFらしく人工知能のアイドルがかかわってくる。

当時から物語に目新しいところはないとされたし、三角関係の結末もあっさり解決した。新規シーンをつけくわえた劇場版では主人公のダメな部分も描いていたが、OVA版だけならば主人公はたいして悪くもない。

ハリウッド映画の安っぽいタイプと同じ、明るく軽いドラマだ。

 

しかしストーリーがシンプルなだけに、映像のすさまじさが映える。

1作目から20年以上をへて、とぎすまされた日本のアニメ技術。そこに実際の戦闘機の動きをスタッフが経験したことで、リアルで華々しい空中機動が展開された。

無数のミサイルの奔流をかけわけて戦闘機が戦う、いわゆる「板野サーカス」と呼ばれる空間機動のひとつの到達点が楽しめる。第1話の宇宙空間における庵野秀明作画など、劇場版では削除された戦闘シーンも必見。

当時のまだ技術不足な3DCGが、現在でも違和感が少なく用いられていることも注目。モニター映像や仮想現実の表現に利用することで、画面から浮いていても不自然に感じさせない。

 

また、音楽全般をささえた菅野よう子は、この作品からさまざまなアニメで活躍することとなった。いかにも未来的なテクノポップから、落ちついたバラードまで、印象的な歌がいくつも登場する。

シリーズでは異例作あつかいだが、第1作の延長として素直な続編『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』(全6話)配信期間:2018年2月15日~2月21日

シリーズ1作目から10年後、1992年に発売された、TVアニメと同じフォーマットのOVAが、おそらく初めて全話無料配信。

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原作のSF設定集団「スタジオぬえ」が外され、その一員でシリーズの独自性を決定づけたメカデザイナー河森正治も不参加。そのため後続のシリーズとはSF設定も異なる。一時期はシリーズ全体からは傍流と位置づけられた。

しかしシリーズ構成とキャラクターデザイナーは1作目と同じ。歌という文化で異文明との戦争を止めたことが、歌で戦意を煽る異文明との戦争であらたな局面をむかえる……という物語の問題提起もよくできている。

リアルロボットアニメで戦場カメラマンが主人公という珍しさもある。美樹本デザインのキャラクター作画は可憐で重厚。アクション作画はやや弱いが、大張正巳監督が抜擢された第5話などの見どころはあった。

全6話できちんと完結しているし、けして悪くはない作品。