ニコラス・ケイジ主演の実話にもとづくドラマ映画。字幕と吹替で初無料配信を一ヶ月。
原爆を前線まで移送した後、日本軍の潜水艦に撃沈されたインディアナポリス号。海に投げ出された兵士たちは恐怖の漂流劇をくりひろげる。
戦後75年特集にも掲載されている目玉の作品。
しかし2016年の米国映画だがハリウッド大作ではなく、大規模セットのかわりに遺物の軍艦を撮影に利用し、VFXのクオリティも高くない。
歴史を動かした兵器にかかわりつつも任務を終えた後に撃沈されたので、描かれる出来事の歴史的な重要度は低い。
しかし米軍が非戦闘員を必然的にまきこむ大量破壊兵器をつかい、対する日本軍が珍しく特攻を否定する艦長が作戦を指揮するという逆転の構図は印象的。
そうした人間同士の争いを、ただ生きるために襲いかかる鮫が相対化するという展開も絶妙だ*1。
語り口が淡々としているし戦争映画としては予算不足が目立つが、サメ映画としては超大作といっていいし俳優の演技もさすがに危なげない。
期待しすぎずに、一種の再現ドキュメンタリードラマとして見るのがいいだろう。