2014年の米国映画。『キングコング: 髑髏島の巨神』などで知られる脚本家ダン・ギルロイの監督デビュー作。
コソ泥のルイス・ブルームは、仕事を探して自分を売りこむが、まともな経歴もなく、どこでも断られる。
しかし、ある夜の高速道路で交通事故を撮影するフリーカメラマンと出会い、触発される。
すぐにブルームはカメラをたずさえ、持ち前の強引さで凄惨な現場へ踏みこんでいく……
これはTV報道などのメディアが見世物でしかないと風刺した、一種のピカレスクロマンだ。
上昇志向の若者が、視聴率をほしがる女性ディレクターと共犯的に、刺激的かつ露悪的な撮影をつづけていく。主人公は自動車で深夜の街を飛ばし、ライバルと競争しながら現場を踏みにじる。
いい情景を撮るために現場を改竄して、不法侵入もためらわない。さらに事件を呼びおこすような策略にまで手を染める。
しかし、どこまでも外道で非道なことをおこなう主人公だが、いざ失敗しそうになれば観客は手に汗を握ってしまう。倫理的には主人公が失敗するべきだと理解しつつ、感情的には共感させられてしまう。
さらに主人公の撮った映像が地味な話題よりも確かに刺激的ではあることや、存在しない事件を捏造まではしないという一線を守ることで、ジャーナリズムの問題を誇張はしても歪曲はしていないと実感させる。
銃撃戦やカーチェイスといったアクションも、報道番組くらいのリアリティを確保しながら激しく描写。少し変わった視点のクライムサスペンスとして完成度が高い。