2004年から2006年にかけて放映されたTVアニメと同時進行で公開された2005年のアニメ映画を、2015年の初配信からひさしぶりに配信。
本編についてはくりかえしになるが、映画作品なのに、あまり作画が良くなかったTVアニメと印象がほとんど変わらない。良かったのは中盤、杉野昭夫らしい濃い絵柄になった場面と、EDの静止画くらいだ。スタッフが継続した続編TVアニメ『ブラック・ジャック21』で向上した作画に負けている。
ひとつながりの物語なのに、複数の原作を安易につなげているため、悪い意味でオムニバス映画のよう。それなりに意味のあるキリコとの対決すら、1時間半の物語には長すぎたと感じられる。
根本がアニメオリジナルなのだから、製薬会社の陰謀によるテロ活動に必要な部分だけにしてほしい。「湯治場の二人」から引用するくらいなら、キリコの過去話をアニメオリジナルでふくらませるくらいの工夫があっても良かった。
一方、初無料配信の短編は、ピノコにくわえて、TV版でマスコット的にフィーチャーされていたシャラクも登場。ただ動物を助けるだけかと思いきや、手塚治虫らしいファンタジーへと移行。
そこそこ映像が整っていて、あくまで子供向けアニメと思えば悪くない。CGも本編より効果的に活用されている。