1966年のモノクロ映画。横長のシネマスコープで、患者と死者で埋めつくされた画面には大作感がある。
「おとなの大映祭」という特集の一環で無料配信。
前線には珍しい女性として看護婦がレイプされたり、性処理を求められたりするという非人道な情景を正面から見せていく。
軍医が患者を処置するか諦めるかを機械的に決めていく場面など、戦争映画には珍しい後方の痛みを描いた作品といえるだろう。
前線で慰安婦が登場するが、コレラの発生源として隔離され、性処理しようとする兵士を主人公たちが止める役割りになるところも興味深い。性と慰安婦を描きながら、慰安婦が性処理する場面が存在しないのだ。
強引に性処理を求められる戦地において、主人公を性欲の対象にしそうでしない男だけが恋される。強引な性交をけっして肯定はしない。
モノクロに助けられていることもあるが、傷病の特殊メイクが意外とよくできている。
中国という設定のロケやセットにも違和感なく、終盤には予算をそれなりに使った戦闘シーンもあり、予算に余裕があった当時の日本映画らしい重厚さのある一作。