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フリームービーメモ。GYAO!、YOUTUBE、バンダイチャンネル、ニコニコ動画、等々で公式に無料配信されているアニメや映画の情報や感想

江戸から明治にかけて虚飾で作られた売春街の最期『吉原炎上』(02:12:46)配信期間:2020年3月28日~4月10日

破天荒な演出家人生を送った五社英雄監督による、1987年の東映映画。売春をテーマにしてセックスシーンや半裸も多く映されるが、R15ではない。

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テレビドラマ出身で迫真の殺陣演出で知られた五社監督が、この作品では女優に体当たりの演技をさせる。

娼婦の技術をてほどきするためレズビアン的なシーンもあれば、無理心中の大立ち回りもある。

けして奇をてらった演出ではなく、状況をわかりやすく伝えることに徹したカメラワークが、俳優の演技を劣化させず映し出す。さまざまに狂っていく娼婦の描写も、上滑りにならないギリギリで迫力ある。

そうした人間ドラマを支える舞台として、3階建てを超える遊郭や、河岸の貧しい長屋まで作りこんだ撮影セットもすごい。さすがにカメラワークの制限から、どこからどこまで作ったかがバレてしまっているものの、日本映画としては立派な大作だろう。

 

ひとりの女性が身売りされ、やがて花魁の頂点に達するまでを主軸に、さまざまな娼婦と客の人間模様を描いていく。

嘘いつわりに満ちたエピソードひとつひとつは娼婦を題材とした物語の類型が多いが、群像劇的に次々に場面が転換していくので、見ていて飽きない。

ただ、他の娼婦のドラマに尺をとられて、狂言回し的なヒロインが吉原の思想を内面化していく変化についていけないところはあったが、そこはテロップで説明された時間経過で観客の側が想像してやるべきだろうか。

地球全土をおおったパンデミック後を描いた大作『復活の日』(02:36:16)配信期間:2020年4月7日〜4月20日

新型コロナウイルスの蔓延で再注目されている1980年のSF日本映画が、2週間無料配信。

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日本沈没』で知られる小松左京の初期長編SFを、再文庫化とともに各国ロケで映像化。

メディアミックス戦略により、原作小説と映画を大々的に同時展開するという、角川春樹の手法により作られた大作映画のひとつだ。

核兵器で国家同士がねらいあい、動きがとれない東西冷戦において、開発された細菌兵器の流出事故から全てが始まる。

 

B級ヤクザ映画で知られる深作欣二を監督に迎え、さまざまな名作を撮った東宝木村大作がカメラを担当。

しかし派手なアクションは抑えて、重厚な会話劇によるポリティカルサスペンスを成立させた。

 

特撮や銃撃戦は必要最小限のシーンですませて、粗が目立たず、現在に見てもリアリティが確保されている。

代わりに荒廃した都市の描写はていねいで、資料映像を駆使しつつも無数の死体を配置するなどして世界各国がゴーストタウン化した風景を作りあげ、ディザスタームービーらしい見せ場になっている。

ホワイトハウスや南極基地のセットも狭さを感じさせず、きちんとした照明とカメラワークにより重厚な雰囲気がある。

 日本映画でありながら、画面に映る俳優は外国人がずっと多い。各国の活躍も落度もバランスよく配置。世界が死に絶えていく静かな作品のようでいて、終盤に向けてきちんとタイムリミットサスペンスがもりあがっていく。

当時は低評価されたが、娯楽大作としては水準以上の作りだろう。

 

ただ現在の観点から見ると、南極基地に極少数いる女性が、いわゆる「産む機械」としてあつかわれているところだけ、嫌悪感がわくかもしれない。

劇中でも非人道的な政策だということは自覚的に描かれているのだが、相手の男を多くすれば妊娠しやすいというものでもあるまい。せめての補償として女性は生活で優遇されるような政策をとるべきだし、男性を選ぶ最後の決定権は全て女性にゆだねられるべきだろう。そういう描写がほしかったところだ。

古典的な美少女変身アクションのキューティーハニーを、意外と悪くない近未来SF映画へアレンジ『CUTIE HONEY -TEARS-』(01:32:12)配信期間:2020年3月26日~4月15日

2016年のアクション映画を初無料配信。監督はTVアニメ『攻殻機動隊 S.A.C.』のOPなどを手がけたMV演出家のA.T.と、同じくMV演出家でありVFXスーパーバイザーのヒグチリョウ

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近未来の日本、上層と下層にわかれた特殊区域で、自らの造ったアンドロイドを如月光四郎博士が逃がした。

アンドロイド如月瞳は下層階に落下し、ひとりの少年を助けた後、下層階の住人に娘のように育てられた。

20年後、謎のヒーローとして下層階で活躍していた如月瞳は、汚染をたれながす上層階への反乱へ巻きこまれる……

 

1970年代の永井豪による漫画*1を原作として、山崎貴監督作品のVFX制作で知られる白組のスタッフが映像化。アニメ企画をおこなった東映が配給した。

漫画やアニメの設定を引用しつつ、かなり換骨奪胎して、『ブレードランナー』的なディストピアSF映画を日本風に作りあげている。

しかし白組がかかわった作品らしく、予算と技術内でできることをやりきって、意外と絵作りがいい。VFXで作られた上層階の建築物はみごたえがあり、物語のポイントとなる汚染物質の雲も期待以上にリアリティがある。廃工場もていねいに改装し、立体映像の看板などを追加して、近未来の貧民窟らしく見せている。

汚染された雨が降りつづけるというベタベタな設定でも、屋台などに透明ビニールの雨よけをできるだけ設置することで、そういう世界だという実感が生まれる。

アクションも予想以上にいい。特撮TVドラマ『牙狼-GARO-』やTVドラマ『キューティーハニー THE LIVE』で見事なアクション演出を展開した横山誠がアクションコーディネーターとして参加。短いカット割りでごまかしているところも多いが、日本映画としては充分な出来栄え。これが映画初主演となる西内まりやの回し蹴りはなかなかのもの。

ポップなビジュアルにアレンジしがちだった過去の実写化と比べれば、けっこう原作のイメージにそっている。

 

SFアクションのリアリティを壊すようなご都合主義も散見されるが、そこで主人公が命をつないだ結果の異変を敵が察知したり、運よく助かるだけではないバランス。物語が動きつづけるので、中だるみせずに見ていられる。

約1時間半と短めなので、辛気臭い世界観のわりに、気軽にSFアクション映画として楽しめるのも良かった。

ディストピアSFとして全く新味のない展開に終始するのも事実だが、深夜ドラマの延長的な特撮ヒーロー物と考えれば、これはこれでいい。

*1:厳密にはアニメ企画にあわせて作られたメディアミックス作品。