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フリームービーメモ。GYAO!、YOUTUBE、バンダイチャンネル、ニコニコ動画、等々で公式に無料配信されているアニメや映画の情報や感想

アメリカとメキシコの谷間に広がる、麻薬戦争の深い闇『ボーダーライン』(02:01:17)配信期間:2020年9月26日~10月25日

麻薬戦争を描いた2015年の米国映画。要ログインのR15で、字幕と吹替でひさしぶりの無料配信を約一ヶ月。

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突入した屋敷に隠された無数の死体を見つけた捜査官のケイト。その情報を買われるように、メキシコへの潜入作戦にスカウトされる。

ケイトは一員として作戦に従事し、さまざまな戦いにたちあいながら、協力する隊員への不信感をつのらせていく……

 

灼熱の魂』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による、女性FBI捜査官の地獄めぐりのような物語。

銃撃戦の評価は監督を交代した外伝的続編『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』が高いが、それは相対評価であって、この作品も素晴らしい。

一見すると普通の住宅への車両による突入、渋滞した国境線上の高速道路、暗視スコープで突入する洞窟のような敵本拠地……手を変え品を変え見たことのないシチュエーションで、演出としての派手さをおさえつつも刺激的な戦闘が描かれて、アクション映画として見ごたえあった。

 

境界線を描くにあたって俯瞰を多用した撮影なども面白い。街頭で人々が吊るされているメキシコの風景や、並行する別の道路で間接的に展開されるカーチェイスなど、多くの人々が住む街の広がりを表現しているところも見どころ。

映像として面白味があるだけでなく、主人公のケイトが手をとどかせる範囲のせまさを実感させる演出として成立している。

行って帰るだけの意外とシンプルな物語で、どんでん返しで驚かせるサスペンスでもないが、見終わると不思議なわりきれなさが残る。よくできた映画だ。

とりのこされた少年が欠落を埋めることをやめる時『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』(01:33:24)配信期間:2020年9月5日~9月25日

現地の妖精セルキー伝説をモチーフにした、アイルランドの手描きアニメ長編映画。初無料配信が字幕と吹替で約3週間。

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少年ベンは父と妹シアーシャとともに灯台で家族生活をおくっているが、心を許せるのは大型犬のクーだけ。

シアーシャの誕生日を祝いに祖母がやってきてもベンは喜べない。言葉をしゃべれないシアーシャが産まれた日は、母が姿を消した日でもあった。

そしてシアーシャがなぜか夜の海辺で倒れているところを祖母が見つけ、ベン兄妹は安全な街で暮らすことになったが……

 

クライマックスを歌でもりあげる構成や、ファンタジー描写がどこまで現実か幻覚か判然としないところが、良い意味で日本的なアニメ映画。

キービジュアルなどで少女がピックアップされているので意外だったが、あくまで少年が主人公として、距離をとっていた妹に少しずつよりそっていく物語だ。

登場人物の多くは大切なものを失い、とりのこされているように精神が孤立していく。その失ったものを妖精たちファンタジーの住人が埋めあわせる……わけではない。

妖精たちは物語の住人として、過去に何があったかを証言し、主人公たちが記憶の底に沈めて隠していた感情に向きあわせる。終盤の「魔女のマカ」のエピソードから明らかだ。

理性で感情を隠すことが大人なのではない。きちんと自身の感情に向きあい、周囲につたえることこそが成長なのだ。そしてそれが心の余裕を生み、他者を許すことにつながる……

 

制作が大変な手描きアニメ映画で1時間半を超える上映時間も、日本のアニメ映画のようだ。ディズニー映画ですら、手描きアニメ時代はほとんど1時間半を超えない*1

映像はシンプルな描線に柔らかな彩色をデジタルで重ねて、絵本が動いているかのような面白さがある。キャラクラ―作画だけでなく、背景もパースがつかない平面的な場面が多い。それでいて動きは柔らかくも立体的で、特に大型犬の頭の毛がゆれるアニメーションが気持ちいい。

吹替も声優としてキャリアのある芸能人が集まっているので、字幕でなくても違和感がない。日本語に訳出された歌も聞きごたえあった。

数々のアニメ映画賞にノミネートされ、受賞しただけのことはある必見の作品。

*1:一例として、『美女と野獣』が当初の上映版が約84分で、アイマックス上映に変わってようやく約92分にのびた。

R15で上映された色気たっぷりの現代ファンタジーアニメを規制たっぷりの全年齢版で『新妹魔王の契約者 DEPARTURES』(00:59:55)配信期間:2020年9月11日~9月24日

2018年にイベント上映された約1時間のOVAが、約2週間にわたって初無料配信。

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勇者の里が不穏な動きを見せるなか、主人公は能天気なヒロインたちから風呂で体を洗われたり、真冬の屋内プールではしゃいでいた。

そして勇者の里に呼ばれた主人公は、親友のふりをして監視を担当する少年と対決することに……

 

2015年に1期2期でTVアニメ化された続編として、同じスタッフでそのまま制作。

ファンアイテムとして余計な設定説明で時間をとらず、エロスからアクションまで密度の濃いファンサービスをつめこんでいる。

ただいかんせん、アニメでは珍しくPG12ではなくR15で上映されたような限界ギリギリアニメなのに、今回GYAO!での配信は要ログインのR15ではない全年齢版。声優のいろいろな意味での熱演はそのまま楽しめるとしても、画面がボカシや規制キャラクターで埋まってしまっている。

GYAO!での配信だけ見くらべるなら、最初から規制を見こして、規制されないサービスも多く入れたTVアニメ版がサービス量でまさってしまっている。

 

また、制作会社のプロダクションアイムズに体力がないことが画面から実感されてしまうことも痛い。TVよりは制作に余裕があるはずなのに全体の統一感がイマイチ。ファンサービスというには美少女キャラクターの作画に甘さが見られ、美麗な場面は数少ない。

同じようにエロスと変身アクションを見どころにした『俺、ツインテールになります。』『魔装学園H×H』などでたびたび映像が破綻をきたし、この作品を上映した半年後に倒産したことを思い出さずにいられない。

物語がつづくかたちで終わっているし、あらゆる意味でファンアイテム作品と理解して、期待しすぎず見るのが良いだろう。正直、エロスよりアクションにドラマとしてもアニメとしても見どころがあった。