ホラー演出において国内外で高い評価を受ける黒沢清監督の、2013年のSF映画。初無料配信が1ヶ月。
GYAO!での星は少ないが、これは参考にならない。「役に立った」の票数が多い最上位レビューふたつ*1の内容がひどすぎる。
リアル~完全なる首長竜の日~のレビュー・感想・口コミ|GYAO!|映画
これは今敏監督の『パプリカ』やクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』と同じジャンルのSF映画。他人の夢に入りこむ技術があるという設定から、現実と虚構の境界が崩れていく。
先行作品が悪夢を表現するためにパレードのような狂騒や、万華鏡のような酩酊を選んだことに対して、この作品は黒沢監督らしく恐怖を選んだ。あくまで夢であって傷つけられる恐れがないためと、パートナーを救うために逃げてはいけないために、いつでも恐怖とつきあわなければならない展開が他に類を見ない。
迷宮的な物語が少しずつ解明されていく謎解きも悪くないし、終わりかと思ったら新たな問題がふりかかるクライマックスのたたみかけもいい。
映像については、先行作品に比べれば低予算だが、技術が安いところはうまく悪夢表現に逆用している。
そしてリアルなVFXが必要なところは見せ場として完成されている。終盤のモンスター的なVFX描写は、日本映画としては上位にランクインするだろう。
ちょうど同時期に無料配信されている『ラブ&ピース』と鏡像的な作品になっているところも興味深い。
虚構と現実がたがいに浸食する展開や、終盤の特撮的な描写などが通じながら、味わいが正反対。だからこそ比べると面白い。
*1:2017年12月22日 7:35と2017年12月22日 13:08が投稿日時。