新型コロナウイルスの蔓延で再注目されている1980年のSF日本映画が、2週間無料配信。
『日本沈没』で知られる小松左京の初期長編SFを、再文庫化とともに各国ロケで映像化。
メディアミックス戦略により、原作小説と映画を大々的に同時展開するという、角川春樹の手法により作られた大作映画のひとつだ。
核兵器で国家同士がねらいあい、動きがとれない東西冷戦において、開発された細菌兵器の流出事故から全てが始まる。
B級ヤクザ映画で知られる深作欣二を監督に迎え、さまざまな名作を撮った東宝の木村大作がカメラを担当。
しかし派手なアクションは抑えて、重厚な会話劇によるポリティカルサスペンスを成立させた。
特撮や銃撃戦は必要最小限のシーンですませて、粗が目立たず、現在に見てもリアリティが確保されている。
代わりに荒廃した都市の描写はていねいで、資料映像を駆使しつつも無数の死体を配置するなどして世界各国がゴーストタウン化した風景を作りあげ、ディザスタームービーらしい見せ場になっている。
ホワイトハウスや南極基地のセットも狭さを感じさせず、きちんとした照明とカメラワークにより重厚な雰囲気がある。
日本映画でありながら、画面に映る俳優は外国人がずっと多い。各国の活躍も落度もバランスよく配置。世界が死に絶えていく静かな作品のようでいて、終盤に向けてきちんとタイムリミットサスペンスがもりあがっていく。
当時は低評価されたが、娯楽大作としては水準以上の作りだろう。
ただ現在の観点から見ると、南極基地に極少数いる女性が、いわゆる「産む機械」としてあつかわれているところだけ、嫌悪感がわくかもしれない。
劇中でも非人道的な政策だということは自覚的に描かれているのだが、相手の男を多くすれば妊娠しやすいというものでもあるまい。せめての補償として女性は生活で優遇されるような政策をとるべきだし、男性を選ぶ最後の決定権は全て女性にゆだねられるべきだろう。そういう描写がほしかったところだ。