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フリームービーメモ。GYAO!、YOUTUBE、バンダイチャンネル、ニコニコ動画、等々で公式に無料配信されているアニメや映画の情報や感想

マヤ文明で生贄にされた男の孤独な逃走劇『アポカリプト』(02:17:46)配信期間:2018年3月23日~3月29日

2006年に大ヒットしたメル・ギブソン監督作品。R15なので要ログイン、吹替と字幕を初無料配信。

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南米の先住民たちが主人公。森を半裸で生きている主人公たちと、巨石で建築物をつくる侵略者たち。

主人公たちの狩猟採集の日々にはじまり、侵略者への抵抗、そして拉致からの脱出が描かれていく。

原始的な武器による血まみれの戦いはスプラッタ―映画のようで、苦手な人もいるだろう。

 

展開はシンプルなので、2時間以上も必要だったとは思えないが、美しい自然を背景にひきしまった肉体を駆使して展開される逃走劇は、なかなかの緊張感と迫力だ。

主人公は身体能力だけでなく、さまざまな知恵をめぐらせていく。序盤の展開がしっかり伏線として機能しているので、納得感は高い。失敗と成功が連鎖していく展開の妙も楽しめる。

 

一見すると古代エジプトのような先史文明を思わせるマヤ文明だが、その歴史を予備知識として持っていると、展開が予想できるところがいくつかある。

そして最後にむかえる結末は、その歴史を知っていると凄まじい皮肉であるし、それと同時に許されるオチなのだろうか?という疑問もおぼえた。

何しろマヤ文明は「中世まで存続」しており、主人公が別部族に示唆された「」にたどりついたところ、ちょうど「スペインからの侵略者」がやってきたところだった。それによって「マヤ文明は滅亡」するわけである。あたかも「スペインからの侵略者」が主人公を救った正義のような位置づけであるし、逆に「マヤ文明」は「侵略され滅亡」しても自業自得であるかのような位置づけになってしまった。

メル・ギブソン監督の立場であれば、「白人による南米植民地化」を正当化するかのような解釈にならないよう、もっと慎重に描写するべきだったと思うのだが。

話題のクソアニメが全話無料配信『ポプテピピック』(全12話)配信期間:2018年3月25日1時~3月31日25時

特殊な放映形態と、人気声優を利用したコンセプトで話題をさらった作品。日付が変わってすぐの午前1時まで。

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声優を変え、小ネタを連続させたことで、ほぼ同じ内容を直後に流すだけなのに、小さな変化が楽しめる。ギャグに重要なのは意外性だけではなく、お約束だということを思い出させてくれる一品。

老いた初代皇帝の、政敵に対する甘く苦い追憶『項羽と劉邦 鴻門の会』(01:56:13)配信期間:2018年3月14日~3月27日

史記』に題をとり、老い劉邦が、漢の初代皇帝にのぼりつめるまでの回想を描く。2週間無料配信。

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チベットカモシカの密猟者と保護者の闘争を描いた『ココシリ』で知られる陸川監督が、製作と脚本もつとめた。

 

秦を倒して中華の新たな支配者になりあがるという物語だが、あまりスケールの大きさを感じさせる映画ではない。

もともと器の小さな人間で、老いて誰も信じられなくなった英雄が、過去に縁があった人々を思う、しっとりと静かな歴史劇だ。

その回想の中核となる鴻門の会で、項羽韓信といったメインキャラクターが集結するのもいい。そして最後に明かされる真実で、劉邦の人生のすべてが「鴻門の会」だったと思い知らされる。

中国映画の大作にありがちな大味さがなく、しみじみと失われた青春の後味をかみしめる良さがあった。

 

いくつかVFXの見せ場もあるが、大規模な戦闘シーンは描かない。歴史に名を残した人々の数奇な運命を、思惑の衝突として描いていく。

しかし屋外ロケの風景は雄大で、さまざまなセットも情景を成立させる完成度はあり、画面がせまいとは感じさせない。

また、国内の個人情報を集積した秦のシステムは、あたかもサイバーパンクSFを歴史劇として展開したような面白味がある。その個人情報のありようが物語にかかわってくる展開など、まるで紀元前のインターネットのようだ。