重厚かつ普遍的な貴種流離譚として本国で大ヒットし、日本でも映画愛好家に注目されたシリーズ。その前編が字幕と吹替で2週間の初無料配信。
大河を流れて小さな村でひろわれた赤子は、立派な青年シヴドゥに成長した。
そして美しい女性が大河の源流、巨大な滝の上にいると知ったシヴドゥは、超人的な身体能力で崖をこえていく。
そこから冒険をつづけるシヴドゥは、自分のルーツと、王国が簒奪された悲劇を知っていく……
2015年に公開された2部作の前編。インドの映画祭で映画そのものや視覚効果で最優秀の賞を受け、海外にも広く配給された。
後編の『バーフバリ 王の凱旋』で破天荒な映像表現が日本の映画好きに絶賛されたが、前編でも充分に重力にあらがうような無茶苦茶なアクションが楽しい。
海外配給版のためインド映画特有のダンスシーンは少ないが、それゆえ違和感なく普通のアジア系ファンタジーとして楽しめるし、いかにもインドらしい合唱BGMは情熱的で忘れがたい。
観客を驚かせたところで後編に引いているためか、現在GYAO!でユーザーの評価は低いが、終盤までは普通に娯楽アクションとして楽しめる。
王家の血筋を重視した物語でありつつ、インド的な階級社会や男女差別*1は批判する内容であることも、日本の観客にとって見やすさにつながっている。
特に英雄をめぐる議論が、チャップリンの『殺人狂時代』への美しい返歌として印象深い。
映画:「チャップリンの殺人狂時代」 - 東京下町・新小岩駅の不動産屋二代目のつぶやき
「一人を殺せば悪党、百万人を殺せば英雄」
バーフバリ 伝説誕生(R15+)【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!
「百人の首を斬る者を英雄と呼ぶ」
「たった一人の命を救う者を神と呼ぶ」
「この宣誓を法と心得よ」
*1:ただ前編は主人公が一方的にヒロインに接近する描写がある。性犯罪で被害者の女性が非難されがちなインド社会への批判は後編で描かれている。