幽霊が出没するという廃墟となった病院に、視聴数目当てのユーチューバーが向かった顛末を描く。初無料配信が字幕と吹替で2週間。
CNNが七つ選んだ世界心霊スポットに入った廃病院「コンジアム」。そこにオカルト系の人気チャンネルが取材に向かう。
女性の出演者も3人むかえて、自動追尾カメラをしかけたりドローンを用意して、入念な準備をして撮影がはじまった。
しかしその背後には、裏が隠されていた……
実際に2012年にCNNが心霊スポットに選んだ場所を、2016年に映画化した作品。
1位はウクライナのチェルノブイリ遊園地で、チェコ・セドレク納骨堂、日本青木ヶ原、トーゴ・動物お守り市場、日本の軍艦島、メキシコの人形の島、韓国の昆池岩（コンジアム）精神病院がその後を続きました。
ユーチューバーを題材にした作品らしく、映画を構成する映像はすべて劇中カメラで撮影されたというコンセプト。
つまり同年に制作された『ブレア・ウィッチ』等と同じフェイクドキュメンタリーホラーの一種だ。
ユーチューバーの中心人物が視聴数を最優先して、「フェイク」を隠していることも『ブレア・ウィッチ』と同じ現代性を感じさせる。
ただし最後まで劇中カメラというコンセプトを捨てず、誰にも恐怖の全貌はわからないまま、きっちり皮肉めいたオチまで描き切った。
フェイクドキュメンタリーをやりきる根気や、映像のノイズで違う空間とつなぐ演出などは、『オカルト』等の白石晃士監督作品に近いかもしれない。
なお、物語そのものは特に出来が良いわけでも、斬新なわけでもない。日本でも粗製乱造されている心霊映像ドラマと大差ない。
しかし廃墟に乗りこんでからの恐怖描写のもりあげは韓国映画らしくサービス満点だし、大量の撮影素材を凝縮して見せるので映像は安っぽいのに見飽きない。
怪異もデザインこそ平凡だが登場を引っぱったり正面から見せるタイミングが良く、逆に怪異が発生していない場面ではカメラワークで想像力を喚起させる余白を作っている。
普通の廃墟ホラーをていねいに手間をかけて完成度を増したことで、娯楽としては充分に期待にこたえる作品になっていた。
