実話サスペンス『殺人の追憶』で日本映画界に衝撃をあたえたポン・ジュノ監督による、2009年の韓国映画。
ある夜、廃屋の屋根に少女の死体がさらされた。知能の発達がおくれている青年がすぐさま逮捕される。
貧しい母子家庭でくらしている青年を、警察は頭から犯人と決めつける。母は孤独に真犯人を探そうとするが……
山田洋二監督の新作映画『母と暮せば』特集で、家族の絆を描いた4作品のひとつとして無料配信。
ただし家族の「絆」が「枷」になる恐怖と、そのように家族を追いこんだ社会の問題を描いた作品である*1。息子が知能を病んだのは、将来に悲観した母が無理心中をはかったため。事件を解明するにあたって必要なことは何も思い出せないのに、必死に救おうとする母を見て思い出す場面が痛々しい。
クライマックスに明かされる真相の衝撃と、そこから描かれる惨劇には言葉もない。未解決事件をもとにしていたため真相がわからない『殺人の追憶』とは、また違った衝撃の結末だった。
『キネマ旬報』『映画秘宝』というベクトルの異なる雑誌の両方で、年間ベスト3位につけるぐらい日本でも評価が高い。しかしGYAO!のユーザーレビューは星3と低め。
これには理由があって、実際のレビュー欄を確認すると残念な事態になっていることがわかる。
母なる証明のレビュー・感想・口コミ|無料動画 GYAO!|映画
「役に立った順」でソートすると、まず星4か星5の長文レビューがならぶ。
つぎに出てくる星1のレビューは短文で、しかも韓国映画を頭から否定する内容。
このようなレビューでも十数人が「役に立った」と承認しているため、1ページ目に掲載されてしまう。星にいたっては「役に立った」の重みづけもなく、簡単に低評価できてしまう。
もともと映画の評価は観客ひとりひとりでちがうものだ。しかし、いまだ嫌韓がまかりとおっているインターネットでは、ろくに見もせずに低評価されてしまう。レビューや星をたよりにするより、作品名で検索して個人の信頼できる感想をさがすしかないのだろう。