2020年のTVドラマ『未満警察』の原作にあたる、2017年の韓国映画。字幕と吹替で二度目の無料配信。
貧乏でも入れるため、軽い気持ちで警察学校へ入った若者ふたり。最初はそりがあわなかったが、訓練でひょんなことから仲良くなる。
ふたりは学校をぬけだしてナンパをしようとするが、うまくいかない。しかしそこで女性の誘拐を目撃したことで、深夜の追跡劇がはじまる……
『ディヴァイン・フューリー/使者』のキム・ジュファンが監督脚本。
警察学校での訓練や授業は序盤でテンポ良く終わらせ、大規模な女性誘拐事件をコンビが追いかける本筋がはじまる。
学校の授業が予想外に効果をあげたり、まだ警察ではないコンビだけが誘拐を追いかけるタイムリミットを作りだしたり、サスペンスとしての構成はオーソドックスによくできている。敵を追いかける描写でも、細かい伏線が効果をあげている。
中華街*1の不気味さや、弱い立場の女性を搾取する組織の恐怖、はげしい暴力と乱闘のカタルシスなど、韓国映画に期待される娯楽要素は完璧にそなえているといっていい。
被害者の女性がつとめているのが、「日本式」の耳かき店という設定も興味深かった。
ただし、中華街への恐怖を煽って警察権力を賞賛する物語が、韓国では強く批判されたという。
もともと韓国映画は反社会組織を中国朝鮮族が構成する描写が多い。アラブ人を即座にテロリズムとむすびつけるハリウッド映画と似ているが、さらにバランスを欠いている。
韓国の犯罪映画において善良な中国朝鮮族は滅多に登場しない。日本の描写は植民地時代でさえ安易な全否定はしないことと対照的だ。
その問題が最も煮詰まった時期の作品ということは、映画を楽しみつつも記憶しておくと良いだろう。