女性が裸サスペンダーでドイツ軍装を着る場面が有名な、1974年のイタリア映画。字幕で約一ヶ月無料配信。
徹底的にナチス関係者が裁かれたドイツ本国と違って、オーストリアのナチス党員は戦後も影響力をもちつづけ、連合国の追求を逃れていた。
そこで社会に埋没しようとする戦争犯罪者が、戦争時代と変わらない精神のまま破滅に向かう……という物語といえるだろう。
監督は女性のリリアーナ・カヴァーニ。しかし収容所で一方的に女をたらしこんで心身を拘束した男が、戦後の1957年のウィーンで女と奇妙な愛欲関係におぼれるという、男にとって都合のいいハーレクインストーリーにも見える。
もちろん退廃的で耽美な男女の関係は限りなく破滅的で、劇中でも異常な行動だと指弾される。主人公と同性愛的な関係をもつ男性もいるが、ずっと善良でまっとうな感覚をもっている。
あくまで耽美な物語の素材として強制収容所が使われているだけ、と見るべき作品だろう。期待しすぎなければ細部のディテールに見るべきところも多いのだが。