2015年の韓国映画を、字幕と吹替の両方で、無料配信を二週間。権力者が性的サービスを満喫する場面などがあるため、要ログイン。
新興ヤクザを仕切る若者と、後ろ盾がない若い検事が、腐敗した権力のなかで勝利をつかもうとして、もがき苦しんでいく。
もちろん都市部のカーチェイスや血みどろのアクションのような韓国映画らしい見せ場もあるが、どれもクオリティこそ高くても描写は短い。
醜悪な男たちと化粧臭い女たちがうごめき、その裏切りによって状況が二転三転する政争劇として楽しむべき作品だ。
導入で時系列を前後している上に人間関係が複雑で、複数の対立構図のなかで登場人物が立場を変えていくので、序盤は物語を追うのが難しい。
しかし芸能ヤクザと元警官検事というふたりの若者が主人公と明らかになるあたりから、ドラマがグッと面白くなっていく。
対立と和解、また対立をくりかえすふたり。その全てを上層部からコントロールする権力者たち。
邪悪な権力者のひとりとして元民主化運動の闘士がいたりと、韓国社会の世代交代がうかがえるところも興味深かった。
それが象徴するように、悪に対峙するためには悪に染まらなければならないのかという問いかけが、クライマックスで主人公の決定的な選択を後押しする。
社会の全てが権力に騙されて、周囲の誰も信じられなくても、それでも信じられる何かがあるという信念。
結末に一種のどんでん返しがあるが、それは映画の全てをひっくり返すというより、観客自身の価値観を問いかけるものだ。
近年の韓国映画らしく、陰鬱としながらも理想の力強さまで描こうとする。その世界への向きあいかたが、感動的なまでにまぶしい。